今回は分詞について、具体的には現在分詞と過去分詞の基本についてお話しします。
分詞の基本の役割をつかんでもらうため、細かい部分はできるだけ削ぎ落として、物語調の英文法劇場としてお届けしたいと思います。
それでは、早速始めましょう。
英語の分詞とは?物語調で分かりやすく説明!英文法劇場
題して、「英文法劇場~転校生の分詞くん~」
はじまり、はじまり。
むかしむかし、あるところに英語王国という国がありました。
今回のお話の舞台は、英語王国の子供たちが通う、とある学校です。
分詞って何者?
はい、今日はみなさんに転校生の2人を紹介します。
現在分詞くんと…
よろしくね!
過去分詞くんです。
よろしく。
みなさん、2人にこの学校のことをいろいろと教えてあげてくださいね。
分詞くんかぁ…
聞いたことがある気もするけど…
いったいどんな子なんだろう…
あっ、あれって…
(分詞2人:シュートを決める)
(聴衆:歓声)
わぁ、分詞くん達ってスポーツが得意なんだ!
あれって…分詞くんだよな。
(分詞:ペンを動かし続ける)
わぁ、あんなに勉強して、分詞くんは勉強が得意なんだなぁ!
あっ、分詞くん達だ!
(分詞2人:楽器を奏でる)
わぁ、分詞くん達って楽器が得意なのね!
あれ、分詞くん達、さっきまでグラウンドにいたのに…
(分詞2人:絵を描く)
えっ、分詞くん達って絵も得意なんだ!
ねぇねぇ、分詞くん達ってスポーツが得意なんだよ!
違うよ、すっごい勉強家なんだよ!
違う違う、楽器が得意なのよ!
そういえば、絵も得意そうだったけど…
あれれ、どういうことなんだろう?
こうなったら、直接本人達に聞いてみよう!
ねえねえ、分詞くん!分詞くんって何でもできるみたいだけど、いったい何者なの?
なんでもできる…?ああ、きっと僕たちの兄弟にも会ったんだね。
実は僕、現在分詞は3つ子で…
僕、過去分詞は4つ子で、それぞれに得意分野があるってだけだよ。
えっ!そうなの?
いい機会だから、僕たち分詞のこと、詳しく紹介するね!
現在分詞と過去分詞
まず、分詞には2種類あって、それが現在分詞と、過去分詞なんだ。
僕たちはコンビみたいなもので、切っても切れない関係なんだよ。
僕、現在分詞は動詞にingが付いた姿をしているよ。
たとえば、walkならwalking、callならcallingとなるのが現在分詞の形なんだ。
一方で僕、過去分詞は、基本的には動詞にedが付いた姿をしているよ。
現在形、過去形、過去分詞形と変化する動詞の、いわゆる3つ目の形のことだよ。
callならcalledというように、語尾に「ed」をつけるだけの場合が多いけど、たとえばstudyならyをiに変えてedになる(studied)し、eatがate、eatenと変化するように不規則動詞と言われる特殊な変化をする動詞もあるんだ。
さっきも言ったように僕たちには兄弟がいて、それぞれに得意分野があるんだ。
いろいろな場面で活躍できるように役割を分け合っているから、「分詞」って覚えてくれたらいいかな。
ちなみに、現在分詞がingの形だと聞いて動名詞を思い出した人もいるかもしれないけど、動名詞は僕たち3つ子のお兄ちゃんなんだ。
動名詞にはまた別の役割があるから、気になる人はよかったら動名詞についての英文法劇場を覗いてみてね。
時制を作る分詞
じゃあ、ここからは僕たち分詞の役割についてもっと具体的な話をしていくね。
最初に紹介するのは、時制に登場する分詞だよ。
じゃあ、時制に登場する分詞について確認していくね。
まずは、He is playing tennis now.という文を見てみよう。
あっ、ここに現在分詞くんがいるね!
そうなんだ、こんな風に現在形のbe動詞と現在分詞を一緒に使うと、現在進行形という時制ができるよ。
現在進行形というのは、現在をピンポイントで指して、今まさに進行中の話をするときに使う時制だよ。
この文だと、「彼は今テニスをしているところです。」となるね。
今度は、過去分詞を使う時制を確認してみよう。
たとえば、I have finished my homework.という文を見てみるね。
あっ、ここに過去分詞くんがいるね!
そう、こんな風にhaveと過去分詞を一緒に使うと、現在完了形という時制ができるよ。
現在完了形というのは過去と現在を結びつける時制で、この文で言うと、過去のある時点で宿題を終えて、今はもう終わった状態、完了している状態だということを表しているよ。
現在完了形がよくわからないという人は、是非、現在完了形についての英文法劇場を覗いてみてね。
こんな風に、現在分詞は進行形、過去分詞は完了形の時制を作ることができるんだ。
そうか、時制について学んだときに、僕たちはもう分詞くんに出会っていたんだね!
ここで注意点なんだけど、現在分詞には「現在」という言葉が、過去分詞には「過去」という言葉が付いているよね。
だけど、現在分詞が使われているからいつも現在の話をしているとか、過去分詞が使われているからいつも過去の話をしているというわけではないから、気をつけてね。
どういうことか、もう少し説明するね。
もう一度、さっきの文を見てみよう。
この現在進行形の文の動詞のisが、もし過去形になってwas playingになると過去進行形になって過去の話になるよ。
また、未来を表す助動詞willを使ってwill be playingというと、未来進行形になって未来の話になるよ。
同じように現在完了形の文も、haveの部分がhadになったら過去完了形になって過去の話になるし、will haveになったら未来完了形になって未来の話になるよ。
動詞が変わって表す「時」が変化しても、分詞自体に変わりはないよね。
だから、分詞自体には「時」を示す役割はない、ということを覚えておいてね。
なるほど、現在分詞が使われていても未来や過去の話になり得るし、過去分詞が使われていても現在や未来の話になり得るんだね。
態を作る分詞
じゃあ今度は、態に登場する分詞を紹介するね。これもきっとお馴染みの使い方のはずだよ。
たとえば、この2つの文を見てほしい。
The tower was built in 1889.という文と、They built the tower in 1889.という文だよ。
あっ、ここに過去分詞くんがいるね!
そうなんだ。ちなみに、1つ目の文のbuiltはbuildという動詞の過去分詞、2つ目の文にあるbuiltは過去形だよ。
buildは不規則動詞だから語尾にedがつく変化をしないんだ。
この2つの文は、どちらも1889年にthe tower(その塔)が立ったことを意味しているけど、言い方が違うね。
まず2つ目の文は、theyと、人を主語にして、「〇〇が~する□□を」と、いわゆる英語の普通の言い方になっている。
直訳すると「彼らはその塔を1889年に建てた」という意味だね。この、何かをする立場のものを主語にして言う言い方を能動態というんだ。
一方で1つ目の文はthe towerが主語になっていて、「□□が~される」という言い方をしている。
このように、be動詞と過去分詞を組み合わせて、何かをされる立場のものを主語にして言う言い方を受動態というよ。
こんな風に、過去分詞は受動態、つまり受け身の文を作ることができるんだ。
そうか、受動態の文でも過去分詞くんが登場していたんだね!
受動態について詳しく知りたい人は、是非以下の受動態についての記事を見てみてね。
形容詞の役割をする分詞
こうして話を聞いてみると、分詞くんのことはずっと前から知っていたんだということに気づいたよ!
よかった。でも、僕たちはまだまだ活躍する場面があるんだよ。
次は形容詞の役割をする分詞を紹介するね。
えっ、形容詞?僕は形容詞族の猫だけど、僕達と同じ働きをするってこと?
じゃあ、まずは形容詞くんに形容詞について説明してもらおうかな。
形容詞というのは人や物事の様子や性質を表す言葉で、名詞を修飾、つまり説明することができるんだ。
たとえば、It is a beautiful flower.(それはきれいな花です。)という文では、beautifulが「きれいな」という形容詞で、flower(花)という名詞について、どんな花なのかを説明しているよね。
これが形容詞の大きな仕事の1つだよ。
じゃあ今度は、分詞がどんな風に形容詞の役割をするかを見ていこう。
たとえば、Pour boiling water over the tea bag.というと、「そのティーバッグ(お茶の袋)に沸騰しているお湯を注いでください」という意味になるよ。
あっ、ここに現在分詞くんがいるね!
そう、このboilingという現在分詞は、その後にあるwater(水)という名詞がどんなものなのかを説明しているんだ。
「沸騰している水」ということだね。
もう1つ例を見てみよう。
Who is that man carrying a box over there?というと、「あそこで箱を運んでいるあの男の人は誰?」という意味になるよ。ここに僕、現在分詞がいるでしょ。
この文では、前にある名詞、man(男の人)をcarryingという現在分詞以下が説明しているんだ。どんな男の人かというと、「あそこで箱を運んでいる男の人」ということだね。
現在分詞1語の場合は名詞の前、2語以上の場合は名詞の後ろに置くのが基本だよ。
こんな風に、分詞は形容詞の役割をして、名詞を修飾することができるんだ。
本当だ、僕たち形容詞族と同じだね!
今度は過去分詞の例を見てみよう。
たとえば、Wait for the boiled water to cool. と言うと、「沸騰した水が冷めるのを待ってください」という意味になるんだ。
ここに過去分詞くんがいるね!
そう、waterという名詞を、boiledという過去分詞が説明しているんだ。
「沸騰した水」ということだね。
もう1つ、例を見てみよう。
It is a virus carried by mosquitoes.というと、「それは蚊によって運ばれるウイルスです。」という意味になる。ここに僕、過去分詞がいるね。
virus(ウイルス)という名詞を、carriedという過去分詞以下が説明しているよ。
どんなウイルスかというと、「蚊によって運ばれるウイルス」ということだね。
過去分詞の場合も、1語だと名詞の前、2語以上だと、名詞の後ろに置くのが基本だよ。
分詞の性質:現在分詞と過去分詞の使い分け
あれ、分詞くん達が形容詞の役割ができることはわかったけど、現在分詞を使うか、過去分詞を使うかはどうやって考えればいいの?
それには、僕たちそれぞれの性質を知っておいてもらう必要があるよ。
今から説明するね。
現在分詞と過去分詞の性質について知るために、これまで紹介したことを思い出してほしいんだ。
さっき、過去分詞が態に使われることを話したよね。受動態っていう受け身の文だよ。
過去分詞が受動態に使われるのは、過去分詞自体に受動、つまり「~される」ということを表す性質があるからなんだ。
そして、過去分詞と現在分詞は反対の関係、つまり表と裏の関係のようなものだから、現在分詞は過去分詞とは反対に能動、つまり「~する」ということを表す性質がある。
分詞を理解する上で、まずはこの性質を知っておいてほしいんだ。
次に、時制に分詞が使われるという話を思い出してみて。
過去分詞は完了形の時制を作るために、現在分詞は進行形の時制を作るために使われるんだったよね。
完了形に過去分詞が使われるのは、過去分詞に「完了」の状態を示す性質があるからだよ。
一方で、進行形は進行中とか継続中のことを表す時制だから、現在分詞には「未完了」の状態を表す性質があると言えるよ。
ここでも過去分詞と現在分詞は反対の関係になっているね。
このことを意識して、もう一度さっきの文を見てみよう。
Who is that man carrying a box over there? には現在分詞が使われているね。
前にある名詞、man(男の人)がどんな男の人なのかを「あそこで箱を運んでいる男の人」という風に後ろから説明しているね。
ここでman(男の人)という名詞と、carryingという分詞になっているcarry(運ぶ)という動詞の関係性を考えてみよう。
man(男の人)は箱を運ぶんだから、これは能動の関係だね。だから、現在分詞が使われるよ。
もう1つ例を見てみよう。
It is a virus carried by mosquitoes.は、「それは蚊によって運ばれるウイルスです。」という文だったね。
ここにcarriedという過去分詞がいて、前にある名詞、virus(ウイルス)がどんなのものなのかを「蚊によって運ばれるウイルス」と説明しているね。
ここでも、virus(ウイルス)という名詞と、carriedという分詞になっている、carry(運ぶ)という動詞の関係性を考えてみよう。
virus(ウイルス)は運ぶんじゃなくて、運ばれるんだよね。つまり、受動の関係になっているね。だから、過去分詞が使われるよ。
なるほど、現在分詞と過去分詞には能動と受動の意味合いがあるんだね。
もう1つ別のパターンを見てみよう。
Pour boiling water over the tea bag.「そのティーバッグ(お茶の袋)に沸騰しているお湯を注いでください。」という意味の文だね。
ここにboilingという現在分詞があって、water(水)という名詞がどんなものなのかを「沸騰している水」と説明しているね。
もう1つ、Wait for the boiled water to cool. の文を見てみよう。「沸騰した水が冷めるまで待ってください。」という意味だったね。
ここでもboiledという過去分詞が、後ろにあるwater(水)という名詞がどんなものなのかを「沸騰した水」と説明しているね。
では、boiling、あるいはboiledという分詞になっている元の動詞、boil(沸騰する)と、water(水)という名詞に注目してみよう。
現在分詞を使うと未完了の状態、過去分詞を使うと完了の状態を表せるというのが、僕たちのもう1つの性質だったよね。
だから、boiling waterは「今沸騰している水」、boiled waterは「沸騰し終わった水」とか「一度沸騰した水」ということになるよ。
前者は確実に熱いけど、後者は沸騰したてで熱いかもしれないし、時間が経って冷めていても一度沸騰したものならboiled waterと言えるよ。
なるほど、もともとが同じ動詞でも、現在分詞と過去分詞で表していることが違うんだね。
分詞構文
なんだか、分詞くんのことがよく分かってきた気がするよ!
じゃあ最後にもう1つ、分詞が登場する分詞構文という表現を紹介するね。
たとえば、She hurt her knee playing tennis.(彼女はテニスをしていたときに膝を痛めた。)という文を見てみよう。
あっ、ここに現在分詞くんがいるね!
この分詞が使われている部分(playing tennis)は、他の言い方をすると、while she was playing tennis(彼女がテニスをしていたとき)と言えるよ。
でも、whileなどの接続詞を使ってこれだけのことを言わなくても、分詞を使って同じことをこんなに短く言うことができるんだ。このような文を分詞構文というよ。
要するに分詞構文を使えば、簡潔に補足情報を付け足すことができるんだ。
前にも話したけど、分詞自体には時を示す役割はないから、表している時制はこのメインの文(She hurt her knee)の動詞で決まるよ。
今回は傷つけるという意味の動詞、hurtの過去形だから、過去の話だね。
ちなみに、分詞構文は主に書き言葉で使われることが多い表現だということを覚えておいてね。
なるほど、分詞構文にすると短く言えるし、表現にバリエーションが増えるね!
分詞構文には、過去分詞を使うこともできるよ。
たとえば、Written in plain English, this book is easy to understand.と言うと、「この本は易しい英語で書かれているので、理解しやすい。」という意味になるよ。
あっ、ここに過去分詞くんがいるね!
分詞が使われている部分(Written in plain English)は、もちろんきちっとBecause this book is written in plain Englishということもできるよ。
でもこれだけのことを言うよりも、分詞構文にする方が短く言えて、簡潔な表現になるんだ。
時制は、メインの文にisとあるので、現在の話だね。
分詞構文を使わずに書くとis writtenと受動態になることからも分かるけど、さっき触れたように、過去分詞には受動を表す性質があったよね。
だから、過去分詞の分詞構文は受動の意味、つまり受け身の意味になるんだ。
そっか!分詞の性質がわかっていると、意味が取りやすいね。
おさらい
ここまでの話をおさらいすると、分詞には現在分詞と過去分詞の2種類があって、分詞の役割としては、時制を作る、態を作る、形容詞の働きをする、分詞構文で簡潔に補足情報を足す、というものがあることを紹介したよ。
こんな風に僕たち分詞は、いろいろな場面で活躍しているんだ。
どうかな、僕たち分詞のこと、わかってもらえたかな?
うん、分詞くんが活躍する場面がわかって、とっても身近に感じられるようになったよ!
これからもよろしくね!
こちらこそ、よろしく!
「英文法劇場~転校生の分詞くん~」おしまい。
英文法劇場~転校生の分詞くん~ おわりに
お疲れさまでした。英文法劇場、どうでしたでしょうか?
「分詞ってなんだかよく分からないなぁ」という感覚が、少しでもなくなっていたら嬉しく思います。
今回は大枠の話だったので、分詞の細かい使い方に関しては、今後また別の記事を作成する予定です。
このブログおよびYouTubeチャンネルでは、主に英文法や英文読解の説明をできるだけわかりやすく行っていますので、良かったらまた見に来てくださいね。
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