『話すための基礎文法』、今回は「動名詞の使い方」について詳しく説明します。
動名詞の重要ポイント:名詞の働きをする“ing”
以前別の記事で、動名詞と不定詞の違いについてお話ししました。
動名詞と不定詞とどう違うのか分からない、という方は是非上記の記事をご覧ください。
はじめに、動名詞とはどのようなものか、ざっとおさらいしておきましょう。
動名詞とは、動詞のingの形で、名詞の働きをするものです。
「名詞の働き」というのが重要で、文中でingが出てきたら全て動名詞というわけではないですよね。
たとえば、以下の2つの文章を見てみましょう。
He is playing tennis now. (彼は今テニスをしているところです。)
と
He likes playing tennis.(彼はテニスをするのが好きです。)
この2つの文にはどちらも“playing”というingの形がありますね。
前者は「be動詞+ing」のセットで使われているので、以前説明した「現在進行形」です。
一方で後者は、「テニスをすること」が“like”という動詞の目的語になっているので、名詞として使われている動名詞になります。
動名詞は主語や目的語、補語になる
この「名詞の働き」についてもう少し詳しく見ていきましょう。
動名詞は、日本語では「~すること」と訳されることが多いですね。
そもそも、名詞は人や物事の名前を表す言葉で、文の要素で言うと主語や目的語、補語になることができるものです。
主語(S)、目的語(O)、補語(C)ですね。
文の要素が何のことかよく分からないという方は、是非文の以下の記事をご覧ください。
名詞は「何?」の答えにあたる部分
名詞は「人や物事の名前」と言うけれど、動名詞の「~すること」というのは何かの名前じゃないよね?
と思う方は、名詞をこのように捉えてみてください。
名詞は、文の中で「何?」(「何が?」「何を?」「何に?」)の答えにあたる部分になります。
このことを意識しながら、具体的な例を見ていきましょう。
まず、主語(S)になる動名詞です。
Sleeping early is a good habit. (早く眠ることは良い習慣です。)
という文章では、“Sleeping early”が動名詞を含んでいるフレーズですね。
これを文の要素の観点で見ていくと、
- Sleeping early・・・主語(S)
- is・・・動詞(V)
- a good habit・・・補語(C)
となっています。
ここで、「何?」を思い出していただきたいのですが、「何?」の答えにあたる部分が名詞でしたよね。
なので、ここでは、
「何が良い習慣なの?」→「早く眠ること」
と捉えることができ、この動名詞が名詞の役割をしていることが分かります。
次は目的語になる動名詞です。
I like playing tennis. (私はテニスをすることが好きです。)
では、“playing tennis”に動名詞が含まれていますね。
これを文の要素の観点で見ていくと、
- I・・・主語(S)
- like・・・動詞(V)
- playing tennis・・・目的語(O)
となります。
ここでも、
「私は好きです」→「何が?」→「テニスをすることが」
と捉えることができますね。
次に、補語になる動名詞です。
Seeing is believing. (見ることは信じること/百聞は一見にしかず。)
では、最初の“seeing”も動名詞なのですが、今回は最後の“believing”に注目してみましょう。
文の要素の観点で見ると、
- Seeing・・・主語(S)
- is・・・動詞(V)
- believing・・・補語(C)
となっています。
ここでも、
「見ることは」→「見ることは何?」→「信じること」
となっているので、この動名詞が名詞の働きをしていることが分かりますね。
このように、動名詞は名詞の役割をするので、文の中で主語や目的語、補語になることができます。
知っておきたい!動名詞の否定語の位置と意味上の主語の使い方
ここまでで、動名詞は「~すること」という名詞の役割をすることがお分かりいただけたかと思います。
では、動名詞を使って、「~しないこと」という否定の意味や、「○○が~すること」のように「誰が」するのかに触れたい場合はどうすればいいのでしょうか。
否定語の位置
まず、動名詞の否定語の位置について説明します。
たとえば、「健康のためには喫煙しないことが重要だ」という文を例にしてみましょう。
これを動名詞を使って言いたいのですが、
Smoking is important for your health.
とすると、
「喫煙することが健康のために大事」という意味になってしまいますね。
今回は「喫煙しないこと」と否定の意味を持たせたいので、その場合は、
Not smoking is important for your health.
と、否定の言葉を動名詞の直前に置くことになります。
動名詞の意味上の主語
次に、動名詞の意味上の主語についてです。
たとえば、「私の彼氏は私が他の男の人と話すのを嫌がる。」という文を作ることにしましょう。
これを、
My boyfriend doesn’t like talking to other guys.
とすると、「彼氏は他の男の人と話すのが好きじゃない」となり、「彼氏自身が」そうすることが好きではないという意味になってしまいます。
今回は「私が」そうすることを彼氏は気に入っていない、と言いたいので、その場合、“me”あるいは“my”を動名詞の前に置く必要があります。
この動名詞の意味上の主語は、名詞でも代名詞でもOKです。
名詞の場合は、そのままの形か“ ’s ”をつけた所有格の形で、今回のように代名詞の場合は、目的格あるいは所有格の形で意味上の主語となる語を置きます。
目的格というのは「~を」とか「~に」と言うときの形(「私」“I”なら“me”)、所有格は「~の」のときの形です(「私」“I”なら“my”)。
これを否定語のときと同様に、動名詞の直前に置くと完成です。
動名詞の使い方 まとめ
- 動名詞:動詞の“ing”の形で、名詞の働きをするもの
- 名詞は「何?」の答えにあたる部分
- 否定語は動名詞の直前に置く
- 意味上の主語は動名詞の直前に以下を置く:
- 名詞の場合:そのままの形か所有格(’s)
- 代名詞の場合:目的格か所有格
今回は動名詞の使い方について詳しく見ていきました。
不定詞と同様、必ず使いこなせるようになっておきたい重要な表現ですね。
是非自分のものにして、どんどん使ってみましょう!
コメント