前回の記事では、文の要素について説明しました。
この文の要素、「品詞とどう違うんだろう?」と思っている方もいるのではないのでしょうか。
今回の記事では文の要素と品詞の違い、またその関係性について説明していきたいと思います。
文の要素は、文があって初めて成立する役割
前回の記事で説明しましたが、文の要素とは、文の中でのその語の役割のことでした。
S、V、O、Cで表されるのが文の要素でしたよね。
文の要素のそれぞれの役割がよく分からないという方は、是非前回の記事を見ていただければと思います。
この「文の中でのその語の役割」というのは、もう少し掘り下げて言うと、「文があって初めて成立する役割」だと言うことができます。
どういうことか、具体的に見ていきましょう。
She likes small dogs. (彼女は小さな犬が好きです。)
という文を文の要素の観点から見てみましょう。
まず、”She”が主語(S)にあたります。
日本語の「~が」や「~は」にあたる部分が主語ですね。
次に、”likes”は動詞(V)です。
彼女が「どうする」のかにあたる部分、つまり動作や状態を表すのが動詞ですね。
最後に、”small dogs”は目的語(O)です。
動詞(ここでは”likes”)の動作の対象となる語が目的語でしたね。
このように、文の要素は、その文の中でその語がどのような役割をしているかで判断できるものとなっています。
もう1つ別の例を見ていきましょう。
Small dogs are cute. (小さな犬はかわいい。)
という文章です。
これを文の要素の観点で見ていくと、”small dogs”の部分が主語になりますね。「小さな犬は」の部分です。
ただ、この”small dogs”という言葉は、先ほど見た”She likes small dogs.”の文では目的語となっていました。
今回の文では”small dogs”は文頭にあり、「小さな犬は」という意味となっているので、目的語ではなく主語になっているわけですね。
つまり、同じ言葉でも文が変わると文の要素が変わることがあるということです。
続けて見ていくと、”are”はbe動詞なので、動詞(V)にあたりますね。存在や状態を表すのがbe動詞です。
そして”cute”は補語となっています。補語というのは主語や目的語を説明する言葉ですね。
ここでは主語がどのようなものなのかを説明しており、”small dogs”=”cute”という関係になっています。
主語、動詞、補語のいずれも、その語単体を見るのではなく、その文の中でどのような役割をしているかを考えてきました。
このように、文の要素は文章があって初めて成立するその語の役割だということがお分かりいただけたかと思います。
では、品詞についてはどうでしょうか。
品詞は、その語単体または他の語との関係性で判断できる
品詞とは、単語の種類、単語そのものの働きのことです。
名詞、動詞、形容詞などが品詞の例ですね。
品詞にどのような種類があるのか分からない方や、それぞれの品詞の役割が分からない方は、是非以下の記事を見ていただければと思います。
この「単語そのものの働き」というのは、もう少し掘り下げて言うと、「その語単体、または他の語との関係性で判断が可能」なものです。
具体的に見ていきましょう。
She likes small dogs. (彼女は小さな犬が好きです。)
という文章は、文の要素で見ていくとS、V、Oとなっていました。これを今度は品詞の観点から見てみましょう。
まず、”She”は代名詞です。名詞の代わりをするのが代名詞ですね。
そして”likes”、これは文の要素のときと同じで動詞になります。動作や状態を表すのが動詞ですね。
最後に”small dogs”ですが、”small”と”dogs”に分けると、まず”small”は形容詞です。
形容詞は性質や様子を表す言葉です。また、名詞を修飾できるのも形容詞の役割ですね。
一方で”dogs”は名詞です。動物の種類の名称ですから、名詞になりますね。
つまり、”small dogs”は「形容詞+名詞」でできているのですが、ここでは”small dogs”という2語で1つの名詞を作っています。「小さな犬」という1つの名詞です。
このように2つ以上の言葉で1つの品詞の役割をするものを「句」と呼びます。ここでは名詞の役割をしているので「名詞句」です。
もう1つ例を見ていきましょう。
Small dogs are cute.(小さな犬はかわいい。)
という文章です。これを品詞の観点で見ていきます。
先ほどと文章は変わりましたが、”small”が形容詞、”dogs”が名詞というのは変わらないですよね。
“small dogs”という一塊で「小さな犬」という名詞句になっています。
続けて見ていくと、”are”はbe動詞なので動詞ですよね。状態や存在を表すのがbe動詞です。
最後に”cute”は形容詞です。「かわいい」などの様子や性質を表すのが形容詞ですね。
このように品詞は、その語単体、あるいは”small dogs”の例のように他の語との関係性からどの品詞にあたるのかを判断することができます。
文の要素と品詞の関係性
では次に、どの品詞がどの文の要素に使われるのかという、文の要素と品詞の関係性について見ていきたいと思います。
主語(S)は(代)名詞
まず、「S」で表される主語を見ていきましょう。
主語に使われるのは、名詞あるいは代名詞です。
代名詞は名詞の代わりですから、大きくは「主語には名詞が来る」と覚えておけばいいですね。
She likes small dogs.(彼女は小さな犬が好きです。)
という先ほどの文章では、”she”という代名詞が主語になっています。
Tom is kind.(トムは親切です。)
という文章では、”Tom”は人の名前なので主語は名詞となっていますね。
My favorite color is blue.(私の好きな色は青です。)
という文章では、”My favorite color”という3語が「私の好きな色」という1つの名詞を作っています。先ほども説明した名詞句というものです。
いずれの文章を見ても、名詞あるいは代名詞が主語になっていることがお分かりいただけると思います。
目的語(O)は(代)名詞
次は「O」で表される目的語です。
主語と同様、目的語にも名詞か代名詞が来ます。
She likes small dogs.(彼女は小さな犬が好きです。)
という文章では、”small dogs”(小さな犬)という名詞句が目的語になっていますね。
He doesn’t use it.
という文章では、”it”(それ)という代名詞が目的語になっています。
We cleaned the classroom.(私達はその教室を掃除した。)
という文章では、”the classroom”という2語で「その教室」という1つの名詞を作っていますね。つまり名詞句です。
いずれの文章でも目的語にあたる部分が名詞あるいは代名詞になってることが分かると思います。
補語は名詞か形容詞
最後に補語(C)です。補語になるのは名詞か形容詞です。
Small dogs are cute. (小さな犬はかわいい。)
という先ほどの文章では補語にあたる”cute”(かわいい)は形容詞ですよね。
Tom is a student. (トムは学生です。)
という文章では、補語にあたる”a student”という2語が「ある学生/1人の学生」という1つの名詞句になっています。
She looks angry. (彼女は怒っているように見えます。)
という文章でも、補語にあたる語の”angry”は形容詞ですね。
いずれの文章も、補語にあたる部分が名詞か形容詞になっていることがお分かりいただけるかと思います。
品詞と文の要素の違い まとめ
- 文の要素は、文があって初めて成立する役割
- 品詞は、その語単体または他の語との関係性で判断できる
- 主語(S)は(代)名詞
- 目的語(O)は(代)名詞
- 補語(C)は名詞か形容詞
今回は、文の要素と品詞の違い、またその関係性について説明しました。
品詞や文の要素は英文法の基礎となる重要なポイントです。
しっかりと理解して英語力の基盤としてくださいね。
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