
今回は、助動詞を使った過去を表す表現について説明します。
意味や使い方、注意点など、助動詞で過去を表現する際に必要な知識をご紹介しますね。
では、早速始めましょう。
英語で助動詞を使って過去形を表す方法とそのイメージ

前回の記事では、基本の助動詞と関連表現について詳しくお伝えしました。
助動詞の基本の意味や使い分けがよく分からないという方は是非そちらの記事を見ていただければと思います。
助動詞というのは、たとえば
I should play tennis. 私はテニスをした方がいい。
という風に、動詞を「助け」、話し手がどう思っているかというニュアンスを加えられる言葉でしたね。
では、
あのときテニスをすればよかった。
などのように過去の出来事を表現する場合はどうすればいいのでしょうか?
過去のことを指すには「助動詞+have+過去分詞」

助動詞を使って過去を表す表現の作り方を見ていきましょう。
過去の出来事について言いたい場合は、助動詞に「have+過去分詞」を加えて言うことになります。
過去分詞は、動詞の変形した形の1つですよね。
たとえば“use”なら、
use-used-used
と、原形、過去形、過去分詞形と変化します。
不規則変化をする動詞でない限りは、動詞に「ed」をつけた形になりますね。
ではこれを使って、先ほどの文を過去のことを言う文に変えてみましょう。
I should play tennis. 私はテニスをした方がいい(すべきだ)。
を「すればよかった」と過去の話にするには、“should”に「have+過去分詞」を続けて、
I should have played tennis. テニスをすればよかった(すべきだった)。
とすればいいですね。
助動詞の過去の表現が表す意味のイメージ

では、この過去を表す表現が何を意味しているかをもう少し詳しく見ていきましょう。
まず、元の形、
I should play tennis.
と言うと、話し手が「今」そうした方がいいと思っていることを意味しています。
これが
I should have played tennis.
になると、話し手が「今」、「過去のある時点」のことを思って、「あのときああすればよかった」と言っていることになります。
つまり、基本的に過去のことを今どう思っているかを意味するのが、この助動詞+have+過去分詞の形なんですね。
今の例では“should”でしたが、“should”に限らず、この形で助動詞を使って過去のことを表すと、
- 過去に起こったかもしれないこと
- 実際には起こらなかったこと
を指すことになります。
いずれにせよ、「過去のことを今どう思うか」を話しているわけです。
では、基本のイメージがつかめたところで、それぞれの助動詞が表す意味について詳しく見ていきましょう。
should / ought to + have + 過去分詞

まず、“should”、“ought to”に「have+過去分詞」をつけた形です。
核となる意味は現在形のときと同じです。
1つ目は、「必要・当然」を表し、過去のことを指して、「~すればよかった」とか「~すべきだった」という意味です。
たとえば、
You should have called the police. 警察に通報すればよかったのに。
という風に使われます。
“ought to”を使っても意味はほぼ同じです。
これは、過去の行為に対する非難や後悔を表していて、ニュアンスとしては実際にはしなかったことを「すればよかったのに」とか「すべきだったのに」と言っていることになります。
次は、「推量」を表す、「~したはずだ」という意味です。
たとえば、
She should have arrived by now. 彼女はもう到着したはずだ。
という風に使われます.
“ought to”を使ってもほぼ同じですね。
これは単にそう推測している場合もありますし、文脈によっては、“but she hasn’t.”という意味が含まれ、「もう着いてるはずなのにいないじゃん」といった意味合いにもなり得ます。
may / might / could + have + 過去分詞

次は、“may”、“might”、“could”に「have+過去分詞」が付く例をまとめて見ていきましょう。
この3つの助動詞が表すのは「推量・可能性」で、「~した(だった)かもしれない」という意味になります。
たとえば、
You may have heard this story before. この話は前に聞いたことがあるかもしれないね。
という風に使われ、否定形だと、
He might not have taken the bus. 彼はそのバスに乗らなかったのかもしれない。
と「~しなかったかもしれない」の意味になります。
“may”, “might”と同様に“could”を使っても「~だったかもしれない」の意味になり、
She could have been asleep. 彼女は眠っていたのかもしれない。
のように使われます。
ちなみに、この意味で“can”は使われません。
can / could + have + 過去分詞

次は、“can”と“could”の過去を表す表現を一緒に見ていきたいと思います。
「能力・可能」の意味で「~できた(がしなかった)」ことを表します。
たとえば、
I could have studied harder. もっと熱心に勉強することもできた(が、しなかった)。
という風に使われます。
また、
Who could have imagined that? 誰がそのことを想像できただろうか。(いや、できなかった。)
という意味になり、意味合いとしては「いや、できなかった」と、こちらも実際には起らなかったことを意味しています。
ちなみに、この意味でcanは使われません。
次は「強い否定の推量」で「~した(できた)はずがない」という意味です。否定形で使われます。
たとえば、
She can’t have passed the exam. 彼女がその試験に受かったはずがない。
とか、
I couldn’t have left any earlier. もっと早く出るなんてできたわけないよ。
という感じで、話し手がそれは「無理だった」とか「不可能だった」と思っていることに使われます。
注意:「~できる」に関係する過去の表現

ここで、間違えやすい「~できる」に関係する過去の表現をまとめて見ておきましょう。
まず、“could”だけを使うのは、過去の時点で身に備わっている継続的な能力を言う場合です。
She could play the piano at three. 彼女は3歳でピアノが弾けた。
という風に、そのときにそれができる能力が備わっていたことを意味します。
一方で、“be able to”は過去の1回きりの動作・行為に成功したことを言う場合に使われる傾向があり、
She was able to open the box. 彼女はその箱を開けることができた。
という風に使います。
この「箱を開けることができた」というのは、その特定の場面で「成功した」一時的な能力で、ピアノが弾けるなどのように継続的な能力ではありませんね。
肯定文では今説明した区別を気にするのですが、否定文ではどちらのケースでも“couldn’t”を使うことができます。
I couldn’t meet him. 彼に会うことができなかった。
となります。
最後に、先ほど確認した“could”に「have+過去分詞」が付く表現です。
これは、「することもできたがしなかった」という、実際には起きなかったことを表す言い方でしたね。
I could have studied harder. もっと熱心に勉強しようと思えばできた(けど実際はやらなかった。)
という意味になります。
must + have + 過去分詞

次は“must”の過去を表す表現を見ていきましょう。
“must”に「have+過去分詞」が付くと、「自信のある推量」となり、「きっと~だっただろう(~だったに違いない)」という意味になります。
たとえば、
He must have forgotten about it. きっと彼はそのことを忘れたのだろう。
となり、
Something must have happened to her. 彼女の身に何か起こったにちがいない。
という風に使われます。
「~しなくてはならなかった」と言う場合
“must”といえば「~しなければならない」のイメージが強い人が多いと思うので、ここで「~しなくてはならなかった」と言う場合を確認しておきましょう。
まず、現在の話であれば、
I must meet him. 私は彼に会わなくてはならない。
となりますね。
これを過去の話にしたい場合は、
I had to meet him. 私は彼に会わなくてはならなかった。
と、“have to”の過去形“had to”を使います。
ここで“must have met”と「have+過去分詞」を使ってしまうと、先ほどの「きっと~だっただろう」とか「~だったにちがいない」という意味になってしまいます。
そのため、「~しなくてはならかった」の意味では使えません。
補足ですが、“have to”を否定形して過去の話にすると、
I didn’t have to meet him. 私は彼に会わなくてもよかった。
となり、「不必要」(~しなくてもよかった)の意味になるのであわせて確認しておきましょう。
would + have + 過去分詞

次は“would”に「have+過去分詞」が続く場合を見てみましょう。
これは「意志」や「推量」の意味合いで「(実際には起らなかったが)~しただろう」という意味になります。
たとえば、
I would have called her, but I didn’t know her number.
番号を知ってたら彼女に電話したけど、知らなかったからね。
といった意味になり、ここでは、「もし知っていたらしていた」とか、「したかったけどしなかった」というように、やはり実際には起らなかったことについての話になります。
また、
I didn’t tell him about it. He wouldn’t have been pleased.
そのことは彼には言わなかったよ。よく思わないだろうから。
という風にも使われ、ここでは「もし聞いたとしたら」というニュアンスがあります。
これは、次に説明する仮定法とあわせて理解するとより分かりやすいと思います。
仮定法:would / could / might + have + 過去分詞

では、“would”、“could”、“might”に「have+過去分詞」が付き、仮定法で使われる場合を見てみましょう。
「もし~だったら、~した(~だった)」という意味になります。
現実とは違うことや、起こりそうにないことを表すのが仮定法ですね。
まず、分かりやすくするために、現在の仮定を言う場合を考えてみましょう。
たとえば、
If I had enough money, I would buy it. もしお金があったらそれを買うのに。
です。
現在の仮定は形の上では過去形で示すので、“have”が“had”に、それにあわせて“will”の形式上の過去形“would”が使われます。
これは、「今」お金があったら買うのにという、現在の仮定です。
これを過去の仮定にすると、今回扱っている「助動詞+have+過去分詞」の形になります。
If I had had enough money, I would have bought it. あのときお金があったらそれを買ったのに。
という風に、実際には起らなかった過去の仮定を表すことができます。
過去の仮定はif節の中は過去完了形(had+過去分詞)になり、if節でない方は「助動詞+have+過去分詞」になります。
仮定法の説明がくどくなってしまいましたが、「助動詞+have+過去分詞の形」で、実際には起らなかったことを言っているのは今まで見てきた例と同じですよね。
ここでの助動詞は“would”が使われていて「~だったら~した」という意味になっていますが、助動詞の部分を変えると意味合いも変えることができます。たとえば、
“could have bought”と言うと、「お金があったら買えたのに」になり、
“might have bought”と言うと、「お金があったら買ったかもしれない」になります。
補足:will + have +過去分詞

最後に、補足として“will”に「have+過去分詞」が付く場合に軽く触れておきたいと思います。
“will”の場合、たとえば、
The concert will have finished by four. そのコンサートは4時までには終わってしまっているだろう。
のように、「have+過去分詞」が続くと、時制の1つの形である「未来完了」を表します。
完了形についてはいろいろと語りどころのある話なので、また別の記事でお話ししたいと思っています。
ここでお伝えしたいのは、“will”の場合はこれまで見てきた助動詞と違って「have+過去分詞」が続いても過去の話にならないということです。
“will”は基本的にこれから起こることについて使われる助動詞なので、当然と言えば当然ですね。
この未来完了の文の意味を簡単に説明しておくと、現在から未来のある時点までにこうなると話し手が思っていることを表しています。
この例文では、“by four”とあるので、「4時までにそのコンサートは終わってしまっているだろう」といった意味ですね。
英語の助動詞の過去時制を表す表現 まとめ

今回は助動詞を使った過去を表す表現についてお話ししました。
助動詞を理解していれば、本当にいろいろなニュアンスを伝えることができるようになります。
今回の過去を表す表現も是非しっかりとイメージをつかんで、使ってみてくださいね。
このブログでは、主に今回のような英文法や英文読解の説明をできるだけわかりやすく行っておりますので、良かったらまた見に来てくださいね!

コメント
[…] 【使えたら上級者?】助動詞+have+過去分詞:過去を表す表現の意味や使… […]