今回は、一見とっつきにくい「現在完了形」について、基本のイメージや使い方、過去形との違いなどを確認しながら説明したいと思います。
みなさん、現在完了形と聞いてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
現在完了形は分かりにくい?
英語学習という旅を進めていると、突如「現在完了形」というよく分からないモンスターが現れて躓いてしまった…
ということはありませんか?
名前からしてよく分からない時制だし、「完了・結果」「経験」「継続」と一見ばらばらに思える意味が飛び出し、訳すと「~してきた」とか「~してしまった」とかなんか分かりにくい…。
「いったい現在完了形って何を表すのだろう?」
と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「現在完了形」がどのようなものなのかを理解してもらうために、物語調にしてイメージしやすい形で説明していきたいと思います。
英語の現在完了形とは?物語調で分かりやすく説明!英文法劇場
題して、「英文法劇場~解決!現在完了~」
はじまり、はじまり。
むかしむかし、あるところに英語王国という国がありました。
その国では、動詞族と呼ばれる人々が王族として国を治めていました。
その動詞族の王子の1人にペンタロウという王子様がいました。
国の人々の役に立ちたいと考え、みんなからも慕われている心優しい王子様です。
現在のこと?過去のこと?
ある日ペンタロウが公務を終え、森の静かな場所で一休みしていると、うさぎちゃんがやってきました。
わーっ、王子様だ!王子様、こんなところで、何してるの?
見つかっちゃったね。いいお天気で気持ちいいから、ちょっと一休みみしていたんだよ。
そうなんだ、王子様はいつもみんなのために大活躍で、とっても忙しいもんね。
うさぎはね、いつも王子様ってすごいなぁって思ってるんだよ。
“I study English.”っていう現在形の文があるとしたら、動詞族である王子様は、
過去形では“I studied English.”現在進行形では“I’m studying English.”っていう風に、時と場合にあわせて姿を変えて対応しているでしょ。
これってすごいかっこいいよね!
あっ、ありがとう!時制によって姿を変えて文を成立させるのが動詞族の大事な仕事の1つだからね。
時制といえば、いつもよく分からないなぁって思ってたことがあるんだ。
過去形で“I studied English.”っていうと、「私は英語を勉強した。」っていうのは分かるんだけど、現在完了形っていう“I have studied English.”という言い方があるでしょ。
これがよく分からないの。
現在完了形っていうぐらいだから現在のことなの?それとも勉強したっていう過去のことなの?ってもやもやしちゃうんだ。
そうかぁ、現在完了形っていうのはね…
(…あれ、現在完了形ってどう説明すればいいんだ?いつも感覚でやっていたから分からない…!)
ごっ、ごめんねうさぎちゃん、これは宿題にさせて!
必ず教えてあげるからちょっと待っててね…!
あっ王子様、飛んでいっちゃった。
困った王子様は、王様のもとへ行きました。
父上、現在完了形のことを聞かれたんだけど、上手く説明できなかったんだ…。どうしたらいいかなぁ。
おぉ、ペンタロウよ。
現在完了形はたしかに一見すると難しく思えるかもしれないな。よし、わしが噛み砕いて教えてやろう。
やった!ありがとう父上、是非お願いします!
現在完了形の作り方
まずは、現在完了形の形から確認していこう。
現在完了形は「have+過去分詞」という形で表す。
過去分詞というのは、動詞の変形した形の1つだな。たとえば“use”なら、“use-used-used”と、原形-過去形-過去分詞形と変化する。
基本的には語尾に「ed」をつけた形だ。
でもたとえば“study”なら“y”を“i”に変えて“studied”になるし、“eat”が“ate-eaten”と変化するように、不規則動詞と言われる特殊な変化をする動詞もあるぞ。
では、ここにある現在形の“I study English.”という文を現在完了の形にしてみよう。
現在完了形は「have+過去分詞」で表すから、“I have studied English.”とすればいいな。
ちなみにこの“have”は過去分詞と一緒になって現在完了形をつくる補助のための特殊な動詞で、普通の動詞haveの「持つ」という意味はないからな。
また、“I have”は“I’ve”と省略されることも多いぞ。
主語が変わると、たとえば“He has studied English.”のように、主語にあわせて変化するのは普通の動詞と変わらないな。
“He has”も“He’s”と省略することができるぞ。
うんうん、これが現在完了の文の形だよね。
現在完了形の根本のイメージ
では現在完了の形が分かったところで、現在完了形の非常に重要なポイントを3つ伝授しよう。
まず現在完了形がどんな役割をしているかというと、過去と現在を結びつけるという時制が現在完了形なのだ。
点と点だった過去と現在を線でつないであげるイメージだな。
そして現在完了形が指す対象となるのは、過去のある時点から今までの話だ。
点ではなく、むしろ面というイメージだな。
それで、現在完了形を使って何がしたいのか(目的)というと、今のことを言いたいわけだ。
視点は現在に向いていて、過去の出来事が現在にどんな結果や影響をもたらしているかに注目しているんだな。
なるほど、過去と現在をつないで、今のことを言いたいんだね。
現在完了形の特徴
ではこのイメージをもった状態で、実際に過去形の文と現在完了形の文を比較して見てみよう。
現在完了形と過去形の比較
まずは過去形の“I studied English.”(私は英語を勉強した。)という文だ。
過去から未来の時の流れを線で表すとしよう。現在はここだ。(画像参照)
この文が示しているのは、過去のある時点で「英語を勉強した」ということ。
時制の対象になっているのはこの緑色の範囲のイメージだな。
過去形はその名の通り過去の話だから、現在とのつながりは示さないんだ。
だからイメージとして、現在との間に壁のような隔たりがあると考えるといい。
この文では単に過去に英語を勉強したと言っているだけで、今も勉強しているかはこれだけでは分からない。
現在とは区切られているからな。
一方で、現在完了形の“I have studied English.”という文はどうだろうか。
同じように過去から未来の時の流れを線で表して、現在はここだとしよう。(画像参照)
過去のある時点で英語を勉強しているんだが、現在完了形の示す範囲は過去のある時点から今までなので、緑色で表すとこんな感じだ。
つまり、現在とつながっていて、視点は現在に向いている。
だから、この文では「これまで英語を勉強してきた」というニュアンスで、今でも勉強しているとか、勉強した成果が今の自分に身についているということを示しているんだ。
現在どうなのかを言いたいわけだな。
このことは、よく一緒に使われる言葉を見るとより分かりやすいはずだ。
過去形の場合は、“when I was 10”(私が10歳だった頃)とか“yesterday”(昨日)といった言葉が一緒に使われることが多い。
“when I was 10”だったら、勉強したのが10歳のときだな。
過去形は現在とは分断されているので、もう終わってしまった時間を表す言葉が使われるわけだ。
一方で現在完了形だと、“for 10 years”(10年間)とか“since last year”(去年から)などの言葉が一緒に使われる。
“for 10 years”だと、過去のある時点は10年前で、そこから現在につながっているイメージだな。
だから、今が含まれる時間を表す言葉が使われるわけだ。
別の例も見てみよう。
たとえば過去形の“He lost the key.”(彼はその鍵をなくした)という文を考えてみよう。時の流れがあって、現在はここ。(画像参照)
この文が表すのは過去のある時点で「鍵をなくした」ということだ。
対象となっている範囲は緑色で表すとこんなイメージだな。
過去に鍵をなくしたんだが、過去形では現在とのつながりがないので、今も鍵がないかもしれないし、見つかったかもしれない。
過去と現在がつながっていないから、これだけではそれが分からないんだな。
一方で、現在完了形の“He has lost the key.”はどうだろうか。
時の流れがあって、現在はここだ。(画像参照)
過去のある時点で鍵をなくしたのは過去形と一緒だな。
だが、現在完了形は今とつながっているから、表している範囲は緑色で表すとこんなイメージだ。
過去に鍵をなくしたんだが、現在完了形では視点が今に向いているので、その結果今鍵がないということを意味している。
やはり、現在どうなのかを言っているんだな。
なるほど!現在完了形のイメージがわかってきたよ!
うむ、では現在完了形で表せる他の例も見てみよう。
現在完了形で経験を表せるのは…
たとえば、“I have visited Paris three times.”という文だ。
これは「私は3回パリに行ったことがある」という意味を表しているんだが、これまでと同じ現在完了形のイメージがもとになっている。
時の流れがあって、現在はここ。
この文で過去のある時点になっているは自分が生まれたときだと考えるといい。
生まれてから今までで3回パリに行った。
現在完了形は現在に視点が向いているので、「~したことがある」つまり「今の自分に過去に3回パリを訪れたという経験がある」ということを言っているんだな。
現在のことを言っているのは今までの例と同じだ。
そうか、だから「~したことがある」という経験を言うときに現在完了形が使えるんだね。
「完了」とはどういうこと?
次は、“He has finished his homework.”(彼は宿題をし終わった。)という文だ。時の流れがあって、現在はここ。(画像参照)
過去のある時点で宿題を終えたわけだな。
何度も言うが、現在完了形は現在とつながっているから、言いたいのは現在のことだ。
だから現在はもう宿題が終わっている状態、もうやらなくてもいい状態だという、今のことを言っているわけだな。
本当だ、イメージはこれまでの例と同じだね。
現在完了形が表す意味の分類
これまで4つの現在完了形の文を見てきた。
これらは意味の上で分類すると、それぞれ「継続」「結果」「経験」「完了」と分けることはできる。
だが、この意味の分類が重要なのではなくて、大事なのは現在完了がもつイメージだ。
現在と過去を結びつけ、過去のある時点から今までの話で、現在のことを言いたい、ということが共通していたのが分かってもらえたかな。
そうだね、複雑に見えてたけど、1つのイメージに基づいているんだね!
ちなみに、実際に現在完了形が使われる場面では、たいていは動詞の意味や一緒に使われる言葉が文の意味をはっきりさせてくれるのだ。
最後にそのことを確認しておこう。
現在完了形の意味の見分け方
継続の意味で使われているなら、“I have studied English for 10 years.”(私は10年間英語を勉強してきた)のように、期間を表す言葉が一緒にあることが多い。
「~以来」を表す“since”もその典型だな。
結果の意味で使われているなら、“He has lost the key.”(彼はその鍵をなくした)だが、これも現在完了のイメージを持っていれば文脈から理解するのは難しくない。
実際の文章や会話では“He can’t open the door.”(彼はそのドアを開けられない)などのように、他にも何かしら状況を示すヒントがあるだろう。
経験の意味で使われているなら、“I have visited Paris three times.”(私は3回パリに行ったことがある)のように、回数や頻度を表す言葉が一緒に使われることが多い。
“I’ve never visited Paris.”(一度もパリに行ったことがない)のように「一度も~ない」を表す“never”もその例だな。
他にも“ever”(今までに)、“before”(以前に)などがあるぞ。
最後に、完了の意味で使われているなら、“He has just finished his homework.”(彼はちょうど宿題を終えたところだ)の“just”(ちょうど)とか、“He hasn’t finished his homework yet.”(彼はまだ宿題を終えていない)の“yet”(まだ)といった言葉がたいてい一緒に使われる。
他にも“already”(すでに)などがあるぞ。
ほんとだ!こういう言葉に注目すると何を言っているかが分かりやすくなるね。
すごい、現在完了形がわかるようになったよ!ありがとう、父上!
うむ、理解できたのなら何よりだ。
早速うさぎちゃんに説明してくるね!
ほう、元気がいいことだな。
……と、現在完了形ってこういうものなんだよ。
なるほど、イメージが分かれば難しいものじゃなかったんだね!
ありがとう!さすが王子様、やっぱりすごいね!
へへ、どういたしまして。
現在完了形を理解できたから、この美しい英語王国と僕の大好きな国のみんなのために、過去と未来をつないで、もっともっと素敵な国にしていくんだ!
よーし、頑張るぞー!
これにて「英文法劇場~解決!現在完了~」、おしまい。
英文法劇場~解決!現在完了~ まとめ
- 現在完了形は「have+過去分詞」という形で表す
- 役割・・・過去と現在を結びつける
- 対象・・・過去のある時点から今までの話
- 目的・・・今のことを言いたい
- 意味の分類・・・「継続」「結果」「経験」「完了」
– 動詞の意味や一緒に使われる言葉が文の意味をはっきりさせてくれる
お疲れさまでした。英文法劇場、どうでしたでしょうか?
「現在完了形ってなんだかよく分からないな」という感覚が、少しでもなくなっていたら嬉しく思います。
このブログおよびYouTubeチャンネルでは、主に今回のような英文法や英文読解の説明をできるだけわかりやすく行っています。
良かったらまた見に来てくださいね!
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