この『きほんの英文読解』は、実際の英文を読むことを通して、文法などの英語の知識を単に「知っている」段階から「理解する」段階につなげていこうという趣旨のコーナーです。
では、早速始めましょう。
英文精読 “UN: This Summer Has Been the Hottest on Record”
今回は、“UN: This Summer Has Been the Hottest on Record”という英文記事の中の2文を見ていきます。
以下は今回扱う記事のリンクです。
先に全体に目を通したい方は、ここで少し手を止めて読んでみてくださいね。
about
では読んでいきましょう。
August was about 1.5 degrees Celsius warmer…
とあります。
まず確認しておきたいのはこのaboutです。
ここでは数字が後に続いて、「約」とか「およそ」という意味で使われています。
about 1.5 degrees Celsiusですね。
degreeは〔温度の単位の〕「度」のことで、Celsiusは摂氏のことなので、これは「約1.5℃」という意味になっています。
-er
次に注目したいのは、
August was about 1.5 degrees Celsius warmer…
このwarmerです。
warm(暖かい)という語にerがついているのですが、これは比較級の形ですね。
「より〇〇」とか、「もっと〇〇」という意味になります。
比較を表す表現について詳しく知りたい方は、是非前回の比較についての記事をご覧ください。
ここでは、about 1.5 degrees Celsius warmerですから、
何かより「約1.5℃暖かい」と言っているわけです。
比較級が出てきましたから、ここで、「何より暖かいのか?」と考えながら続きを読んでいくといいですね。
than
では続きを読んでみましょう。
…than pre-industrial averages.
とあります。
ここではthanをチェックしておきましょう。
比較級とよく一緒に使われる言葉ですね。
「~よりも」とか「~に比べて」という意味があります。
ここでは、than pre-industrial averagesとありますね。
pre-industrialというのは、「産業革命以前の」という意味です。
なので、この部分は「産業革命以前の平均よりも」と言っているわけですね。
摂氏何度とか、暖かいといった話をしていましたから、この平均というのは具体的には平均気温のことを指しています。
文全体の意味を確認しておくと、
August was about 1.5 degrees Celsius warmer than pre-industrial averages.
「8月は産業革命以前の平均(気温)より約1.5℃暖かかった。」となりますね。
thatは何を指している?
次の文を見ていきましょう。
That is the limit…
とあります。「それは限度だ」ですね。
このように、thatなどの指示語、要は「あれ」とか「それ」などの言葉が出てきたら、それが何を指しているのかしっかり意識しておきましょう。
ここでの「それ」って何のことでしょうか?
これは、先ほど確認した前の文の内容を指しています。
具体的には、「産業革命以前の平均(気温)より約1.5℃暖かいこと(約1.5℃気温が上昇すること)」ですね。
まだ、ここまで読んだだけではよく分からない部分がありますね。
「それは限度だ」の「限度」です。
ここまで読んだら、「どんな(何の)限度?」と思いながら読み進めるといいですね。
目的格の関係代名詞
続きにざっと目を通してみます。
…world leaders have said the world must not pass…
とありますね。
ここまででこの1文に目を通したわけですが、この文の構造、ざっくりとでも把握できたでしょうか?
これは、limitとをworldの間に目的格の関係代名詞、具体的にはthatかwhichが省略されているんですね。
関係代名詞というのは、関係代名詞以下の節が前の名詞を説明するという構造を作ることができます。
目的格の関係代名詞の場合は、省略可能でしたよね。
詳しく説明すると、関係代名詞以下が説明する前の名詞というのを、文法用語では先行詞というのですが、それがここではthe limit(限度)にあたります。
そして、省略されていはいますけれども、関係代名詞thatあるいはwhich以下の緑下線の部分(上画像参照)が、どんな限度かを説明しているわけです。
どんな限度かというと、「~な限度」という構造になっているということですね。
ここまで聞いて、「関係代名詞ってよく分からない」とか、「目的格の関係代名詞って何だっけ?」と思った方は、是非以下の関係代名詞についての記事をチェックしてみてください。
現在完了形
では、どんな限度なのか、確認していきましょう。
…world leaders have said…
とあります。
まずは時制を確認しておきましょう。
have+said(sayという動詞の過去分詞)ですから、これは現在完了形ですね。
have+過去分詞を使います。
現在完了形は、過去のある時点から今までの話をするときに使う時制ですね。
現在完了形がよく分からないという方は、以下の記事で物語調でわかりやすく現在完了形について説明していますので、是非そちらをご覧ください。
say (that) S V
…world leaders have said…
念のため、このsaidの使い方も確認しておきましょう。
sayという動詞はthat節(thatの後にSV(主語、述語動詞))を続けることができ、「~と言う」という意味になりますね。
saidの後ろにthatが省略されているわけです。
must
ではworld leadersはなんと言っているのか、続きを見ていきましょう。
…the world must not pass.
とありますね。
ここではmustを確認しておきましょう。
mustは助動詞で、「~しなくてはならない」という意味ですね。
ここでは否定形で使われていますが、否定形の場合の意味は何でしたでしょうか?
否定形のmust notになると、「~してはならない」でしたよね。
pass(~を通り越す、追い越す)という動詞が続いているので、「~を超えてはならない」といった意味合いになっています。
mustのような助動詞がよく分からないという方は、是非、以下の助動詞についての記事をチェックしてみてください。
繰り返しになりますが、この文では関係代名詞が省略されていて、緑下線の部分(上画像参照)が前にある名詞、the limit(限度)を、どんな限度なのか説明していました。
なので、the limit以下(the limit world leaders have said the world must not pass)の意味を取ると、「世界の指導者たちが(世界が)超えてはならないと言ってきた限度」となりますね。
That is the limit world leaders have said the world must not pass.
この文全体の意味を取ると、「それは、世界の指導者たちが(世界が)超えてはならないと言ってきた限度だ。」となります。
今回取り上げた表現
ここで、今回取り上げた表現をざっとおさらいしておきましょう。
- about:約、およそ
- -er:比較級 より〇〇、もっと〇〇
- than:~よりも、~に比べて
- 目的格の関係代名詞⇒省略可能:関係代名詞以下の節が前の名詞を説明する
- 現在完了形:過去のある時点から今までの話をするときに使う時制
- say (that) S V:~と言う
- must:【否定形】must not ~してはならない
練習:「前から読む」の実践トレーニング
では、一通り解説を終えましたので、最後に一緒に英文を「前から読む」練習をしていきましょう。
「前から読む」コツや重要性については、以下の記事で詳しく説明していますので、気になる方は是非そちらをご覧ください。
では始めましょう。
前から意味のかたまりごとに読んでいきましょう。
August was about 1.5 degrees Celsius warmer 8月は約1.5℃暖かかった
何より暖かかったかと言うと…
than pre-industrial averages. 産業革命以前の平均(気温)より
That is the limit それは限度だ
どんな限度かと言うと…
world leaders have said the world must not pass 世界の指導者たちが(世界が)超えてはならないと言ってきた
お疲れ様でした。
どれぐらいの長さを一塊で読むかは、「意味のかたまりごとに前から読む」ができてさえいれば、ご自身のやりやすいように調整してもらえれば結構です。
英語リーディング “UN: This Summer Has Been the Hottest on Record” おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は比較の表現や、省略されてはいましたが関係代名詞が使われている2文を読んでいきました。
あいまいな部分があった方は、是非この機会に復習してみてくださいね。
このブログおよびYouTubeチャンネルでは、主に今回のような英文読解や英文法の説明をできるだけわかりやすく行っております。
良かったらまた見に来てくださいね!
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