『話すための基礎文法』、今回のテーマは「冠詞」です。
前回の「可算名詞と不可算名詞」と同様に、冠詞は日本語には無い概念の言葉です。なので、この記事を通してしっかりとイメージを持っていただけたらと思います。
では、早速見ていきましょう。
冠詞 a / an と the の使い分け
まず、冠詞について少しおさらいをしておきましょう。
冠詞とは
品詞についての記事で少し説明しているのですが、冠詞とは名詞の前に置かれ、特定/不特定を表す言葉のことです。
具体的には“a“または“an“、そして“the“が冠詞となります。
名詞の前、つまり頭に冠のように置くから「冠詞」、と思うとイメージしやすいかもしれませんね。
a / an と the の違い
この“a”“an”と“the”について、それぞれどのように使われるのか、どのような意味合いがあるのかを両者を比較しながら見ていきたいと思います。
まず、“a”“an”の後に続くのは、可算名詞の単数形です。可算名詞というのは数えられる名詞のことですね。
可算名詞、不可算名詞がよく分からないという方は、前回の記事で説明していますので是非そちらを見ていただければと思います。
具体的に例を挙げると、
a pen
an apple
という風に使うことになります。“pen”も“apple”も可算名詞の単数形になっていますね。
一方で、“the”は可算名詞の単数形・複数形どちらにも使うことができ、また不可算名詞にも使うことができます。
たとえば、
the dog
だと可算名詞の単数形、
the dogs
だと可算名詞の複数形に使われています。
また、
the water
のように、数えられない名詞、つまり不可算名詞にも使うことができます。
それぞれの意味合いはどうかと言うと、“a”“an”はあえて日本語で言うなら「ある~」や「1つの~」といった意味になります。
一方で“the”は「その~」という意味になります。
つまり、“a”“an”は特定されていないもの、つまり不特定なものに言及するときに使われるのに対し、“the”は特定されているものに言及するときに使うということですね。
anは後に続く名詞の母音の「音」が大事!
ここで少し、“an”について補足があります。
“an”をいつ使うのかについて大事なポイントとしては、「後に続く名詞の実際の発音が母音で始まるかどうか」という点です。
先ほど、
an apple
という例を出しましたが、これは“apple”という名詞が“a”から始まっている、つまり母音から始まっているために”an”が使われています。
母音というのは、文字で表すと英語では“a”、“e”、“i”、“o”、“u”ですね。日本語で言うところの「あいうえお」です。
母音の音から始まっていると、”a”ではなく”an”を冠詞として使うことになります。
ここでのポイントは、「実際の発音」が母音で始まるかなので、スペルではないんですね。
具体的に例を挙げると、たとえば”university”(大学)という言葉を
an university ✗
と言ってしまうと誤りになります。
「あれ、“university”の頭文字の“u”は母音なのに!」と思うかもしれませんが、“university”は「ユ」という音で発音が始まっていますよね。
「ユ」という音は子音です。なので、
a university ○
と言うことになります。
また、たとえば“hour”という言葉を
a hour ✗
と言ってしまうと誤りになります。
「“hour”の頭文字は“h”、つまり子音だから“an”でいいのでは?」と思うかもしれませんが、大事なのは発音でしたよね。
“hour”という言葉は、あえて日本語で書くなら「アウワ」というような発音になり、母音の音で始まっています。そのため、
an hour ○
が正しいということになりますね。
これが“an”を使う際のポイントになります。
冠詞theはどう使う?
少し脱線しましたが、“a”“an”が「不特定」を表す言葉、“the”が「特定」を表す言葉と説明してきました。
ですが、この「特定」か「不特定」かというのは、少しあいまいに感じないでしょうか。
特に冠詞は日本語には無い概念なので、
「結局“the”っていつ使えばいいの?」「特定されているってどんなときなの?」
と疑問に思う方もいらっしゃるのではないかと思います。
なので、ここで少し掘り下げて”the”を使うときについて考えてみましょう。
theを使う時のポイント
基本の“the”の使い方としては、「どれを指しているかが明らかであるとき」を特定と考え、“a”ではなく“the”を使います。
具体的に例を挙げると、たとえばある会話の中で
the dog
と言うとしたら、これを聞いている相手はその犬がどの犬のことか分かっているという前提があります。
どの犬を指しているかが明らかなので、”the”を使うということですね。
もう少し例を見ていきましょう。
たとえばある会話の中で
Tom has a dog. (トムは(ある)犬を飼っています。)
と言ったとすると、これ以降この会話の中で再びその犬について何かを言うときは、もう“a”ではなく、“the”を使うことになります。
I like the dog. (私はその犬が好きです。)
となるということですね。
「ある犬」については既に触れていますので、次にその犬のことを何か言う場合は、聞き手もその犬がどの犬のことか分かっています。
話し手も聞き手もお互いにどの犬について話しているかが分かっているわけですね。
このようなときに使うのが“the”になります。
冠詞を使ってみよう
では、実際に冠詞を使った文章を作ってみましょう。
「昨日1冊の本を買いました。」「その本は何についての本ですか?」
という会話を英語にしてみましょう。
文章全てを英語にできなくても構わないので、「本」を指す“book”に“a”と“the”のどちらの冠詞を使えばいいか考えてみましょう。
どちらの冠詞を使うか分かりましたでしょうか?
まず、「昨日1冊の本を買いました。」は、
I bought a book yesterday.
になります。
この会話でこの本について触れるのは初めてなので、ここでは“the”ではなく“a”を使うわけですね。
これに対し、「その本は何についての本ですか。」というときは、どの本について触れているのかが明らかです。
今相手が言った「昨日買った本」について聞きたいわけですから、「特定」されていますね。
なので、
What is the book about?
と言うことになります。
ここではどの本を指しているかが明らかなので、“a”ではなく、“the”を使うわけですね。
これで、どのようなときに“the”を使うか、イメージを持っていただけたでしょうか。
冠詞 まとめ
- 冠詞は名詞の前に置かれ、特定/不特定を表す言葉
- “a””an”は「ある~」「1つの~」(不特定)
- “the”は「その~」(特定)
- “the”の基本は「どれを指しているかが明らかである」こと
今回は、冠詞について説明しました。
“a””an”、“the”の使い方や意味合いについての理解が深まっていたら幸いです。
次回の記事では、冠詞の“the”を使う他の例について詳しく見ていきましょう。
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