今回はこれまで扱ってきた関係代名詞とはちょっと違う関係代名詞の使い方、非制限用法(継続用法)についてお話ししたいと思います。
関係代名詞の非常に重要な使い方なので、しっかりとイメージをつかんでいただけたら幸いです。
それでは早速始めましょう。
コンマのある関係代名詞(非制限用法/継続用法)とない関係代名詞(制限用法/限定用法)の違いは?
英語を学んでいると、関係代名詞と聞くとすぐに
「あぁ、“who”とかああいいのうだよね」
と頭に浮かぶ方も多いと思います。
では、「,」(コンマ)のついた関係代名詞は目にしたことがあるでしょうか?
そう言えば “, which” とか “, whom”、“, whose”とか、なんか見たことあったな…」
となんとなく心当たりがあるかもしれませんね。
前にコンマがついている関係代名詞と、コンマがついていない、いわゆる「普通」の関係代名詞はいったい何が違うのでしょうか。
「制限用法(限定用法):コンマなし」と「非制限用法(継続用法):コンマあり」
例として、2つの文を比べてみましょう。
He talked to a woman who was sitting next to him.
と、
He talked to my sister, who was sitting next to him.
です。
どちらも“who”という関係代名詞が使われていますが、後者は“who”の前にコンマがついていますね。
文法的な言葉を使うと、コンマがついていない方の関係代名詞の使い方を「制限用法」や「限定用法」と呼び、コンマがついている方の使い方を「非制限用法」や「継続用法」と呼びます。
これまでの記事で説明してきたのは、コンマがついていない「制限用法」の使い方ですね。
では、この2つの関係代名詞の使い方の違いを詳しく見ていきましょう。
制限用法(限定用法)の役割
まずおさらいとして、コンマのない関係代名詞がどのような役割をしていたかを確認しておきましょう。
a woman who was sitting next to him 彼の隣に座っていた女性
を例にしたいと思います。
関係代名詞の“who”が使われていますね。
まず、「もし関係代名詞がなかったら…」と考えてみましょう。
a woman
という語だけでは、その女性を説明する情報がありませんよね。
これだけではどの女性のことを言っているのか、対象を絞ることができません。
そこで、関係代名詞の登場です。
関係代名詞があることで、「彼の隣に座っていた女性」という風に、どの女性のことを言っているか分かるようになります。
つまり、対象が絞られるんですね。
このように、「どの/どんな〇〇のことか説明して対象を絞る」というのが、コンマのない関係代名詞の役割です。
非制限用法(継続用法)の役割
次に、コンマがある方の関係代名詞を見てみましょう。
my sister, who was sitting next to him
を例にしたいと思います。
こちらも、まずは関係代名詞がなかったら…と考えてみましょう。
my sister
ですから、すでに「私の姉(妹)」のことを言っているのが明らかになっています。
そこに、コンマと“who was sitting next to him”を続けると、「私の姉は彼の隣に座っていた」という情報が足されます。
つまり、このコンマのある関係代名詞の使い方(非制限用法)がしているのは、「何(誰)のことを言っているか分かる状態で、補足情報を足す」ということなんです。
何(誰)のことを言っているか理解するのに関係代名詞の情報は必要?
別の視点で見てみましょう。
何(誰)のことを言っているか理解するのに関係代名詞以下の情報が
- 必要・・・制限用法(コンマなし)
- 必要ない・・・非制限用法(コンマあり)
ということになります。
非制限用法(継続用法)は補足情報
では、これらのことを頭に入れた上でもう一度元の文に戻って見てみましょう。
まずコンマがない方からです。
He talked to a woman who was sitting next to him.
では、関係代名詞以下の語のかたまり(節)が、前にある名詞“a woman”を説明しています。
これで、「彼の隣に座っていた女性」と、どの人のことを言っているかを明らかにしているんですね。
全体の意味を取ると、
He talked to a woman who was sitting next to him. 彼は、彼の隣に座っていた女性に話しかけました。
となります。
一方で、コンマありの非制限用法では、
He talked to my sister, who was sitting next to him.
と、関係代名詞“who”の前にコンマがあり、関係代名詞以下は前にある名詞“my sister”の補足情報となっています。
補足情報なので、これがなかったとしても
He talked to my sister. 彼は私の姉に話しかけました。
で文を終わらせることができるのですが、もっと“my sister”のことを説明したいわけです。
なので、関係代名詞以下を足して、
He talked to my sister, who was sitting next to him.
彼は私の姉に話しかけました。ちなみに私の姉は彼の隣に座っていたんですけどね。
という感じになります。
非制限用法(継続用法)で使う関係代名詞一覧
どんなときにどの関係代名詞を使えばいいかは、これまでの記事でお話しした制限用法の関係代名詞と考え方は同じです。
先行詞、つまり関係代名詞によって説明したい語が「人」なのか「人以外」なのかと、関係代名詞は主格、目的格、所有格のどの働きをするのかによって決めればいいですね。
ただ、後でも触れますが、このコンマのつく非制限用法では“that”が使えないのでご注意ください。
関係代名詞の使い方がよく分からないという方は、是非、関係代名詞の基本の使い方の記事をご覧ください。
非制限用法(継続用法)の関係代名詞 例文(who, which, whose, whom)
では、コンマがついた関係代名詞がどのように使われるのか、もう少し見ておきましょう。
who, which
まず、“who”と“which”です。
My sister, who is sitting next to him, is a dancer.
という文を見てみましょう。
ここでは関係代名詞“who”の前にコンマがあり、“him”の後ろにもコンマがありますね。
このコンマに囲まれた“who”から“him”までの部分は補足情報で、元の文の流れを切って挿入されています。
もしこの部分がなかったとしたら、
My sister is a dancer. 私の姉はダンサーです。
となります。
これだけでも文は成立するのですが、話している途中で“my sister”をちょっと説明したくなったと考えてみましょう。
わかりやすく訳すと、
My sister, who is sitting next to him, is a dancer.
私のお姉ちゃんは、あっ、お姉ちゃんは彼の隣に座っている人なんだけど、ダンサーやってるんだよね。
といった感じになります。
このように、非制限用法の関係代名詞は文中に挿入されることもよくあります。
次は“which”を見ておきましょう。
He took me to Vancouver, which I had never visited before.
です。
“Vancouver”(バンクーバー)の後にコンマと関係代名詞“which”がありますね。
コンマがありますから、この“which”以下の部分は関係代名詞の前にある“Vancouver”の補足情報になっています。
なので、
He took me to Vancouver, which I had never visited before.
彼は私をバンクーバーに連れていきました。バンクーバーというのは、私がそれまで訪れたことのなかった場所でした。
という感じですね。
whose, whom
次に、“whose”と“whom”を見ておきましょう。
I talked with a woman named Ana, whose boyfriend lives in Tokyo.
です。
コンマの後に所有を表す関係代名詞“whose”ありますね。
ここでは関係代名詞“whose”以下が、“a woman named Ana”(アナという名前の女性)の補足情報になっています。
なので、
I talked with a woman named Ana, whose boyfriend lives in Tokyo.
私はアナという女性と話しました。この女性の恋人は東京に住んでいます。
ですね。
次は“whom”を使った文です。
Her brother, whom I work with, speaks English.
という文を見てみましょう。
“, whom”と、もう1つ後の方にコンマがあるので、この“whom”から“with”までの部分が元の文の流れを切って挿入されています。
この部分は、前にある“her brother”の補足情報ですね。
意味を取ると、
Her brother, whom I work with, speaks English.
彼の弟は、私の同僚なんですが、英語を流暢に話します。
といった感じです。
関係代名詞の非制限用法(継続用法)の注意点
最後に、コンマつきの関係代名詞(非制限用法)の注意点を確認しておきましょう。
1. , that は使えない
まず1つ目は、先程少し触れましたが、“, that”は使えないということです。
たとえば、
❌ He took me to Vancouver, that I had never visited before.
と、“which”を“that”に変えて使うことはできません。
2. 関係代名詞は省略できない
2つ目の注意点は、非制限用法では関係代名詞は省略できないということです。
たとえば、
❌ Her brother, I work with, speaks English.
という風に、“who”や”whom”を省略して言うことはできません。
関係代名詞の非制限用法(継続用法)まとめ
- ●制限用法(限定用法):コンマなし
- – どの/どんな〇〇のことか説明して対象を絞る
- ●非制限用法(継続用法):コンマあり
- – 何(誰)のことを言っているか分かる状態で、補足情報を足す
- ●何(誰)のことを言っているか理解するのに関係代名詞以下の情報が
- – 必要・・・制限用法(限定用法)
- – 必要ない・・・非制限用法(継続用法)
- 「, that」は使えない
- 関係代名詞は省略不可
今回はコンマのつく関係代名詞の使い方、非制限用法(継続用法)についてお話ししました。
普通の関係代名詞との違いをお分かりいただけたでしょうか。
次に文章や会話などで関係代名詞に出会ったら、是非この違いに注目してみてくださいね。
コメント
[…] […]
省略のない、そして丁寧な説明。
滅茶苦茶解り易かったです!有難うございました。
参考になったようで嬉しいです!😊