今回は、語彙力アップのために欠かせない英単語の覚え方についてお話しします。
はじめにお伝えしておきたいのですが、この記事で紹介する内容は、
「(試験などのために)とりあえずはやく、たくさん単語を暗記したい!」
という方向けのものではなく、
「英語を理解する力を身につけるために長期的に語彙力アップに取り組みたい」
と思っている方向けの内容となります。
どちらが良いとか悪いとかではないのですが、この点をご了承いただき、気になる方は引き続き見ていただければと思います。
では、さっそく始めましょう。
英単語が覚えられないのは暗号に見えているから?
突然ですが、たとえば、
「5dv7ol」が「美しい」
「wl?u-k」が「表現する」
「g56]e2」が「ゆっくりと」
という意味だと言われて、この文字列と意味を覚えられるでしょうか?
まるで暗号のように見えるこれらの文字の意味を、次に文章の中で目にしたときに覚えていなかったとしても無理ないですよね。
あなたの英単語の覚え方は、このように「無機質な暗号を覚えようとしている」ということになっていないでしょうか。
英単語を覚えるために意識すべきポイント
英語学習の旅を続けていく中で語彙力を身につけるのは避けては通れない道です。
しかし、ただがむしゃらに暗号のように見えるものを覚えようとしていてもなかなか効果が得られず、英語力もなかなか上がらないですよね。
そこでこの記事では、単語を覚えやすくするために意識するといいポイントを大きく分けて4つご紹介します。
まず大まかに言うと、
- 文脈
- 言葉の種類
- 言葉の共通点/関連性
- 文字以外の情報
です。
これらを意識していれば、英単語が覚えにくい暗号のようなものに見えるという状況を打破することができます。
そして、語彙力をアップし、これまで見たことのない英語の世界の景色を見ることができるはずです。
では、1つずつ詳しく説明していきますね。
①文脈 – どう使われるか
まず1つ目のポイントは、文脈です。
もう少しわかりやすく言うと、覚えたい単語がどんな風に使われるか、です。
これをまずお伝えするのは、文脈や使われ方を意識することが単語を効率的に覚える上で大前提となるからです。
たとえば、単語帳で“include”という単語に出会ったとします。
おそらく単語の横には「~を含む、含める」といった意味が書かれていますよね。
一番避けたいのはこの段階で覚えた気になってしまうことです。
単語と意味を確認したら、必ずその単語が使われている文章をチェックします。
単語帳だったら例文が載っていると思いますので、まずはそれでOKです。
もちろん英文を読んでいて新しい単語に出会ったというときは、その単語の意味を調べて、もう一度読んでいた文にあてはめてみましょう。
そして、今文章を見てだいたい理解したその単語の意味をイメージとつなげます。
Schools need money to pay for unexpected costs that include computers and internet services for distance-learning students.
ここでは何が“include”しているかというと、前にある“unexpected costs”(予想外の費用)なので、まずそれをイメージします。
そして、何が含まれているかというと、
Schools need money to pay for unexpected costs that include computers and internet services for distance-learning students.
“computers and internet services for distance-learning students”(遠隔学習をする学生のためのコンピューターやインターネットサービス)とあるので、そういうものが予想外の費用の中に“include”含まれているんだなと、イメージするわけです。
ちなみにこの文の意味が取れなかった方は、おそらく関係代名詞で躓いているかと思いますので、よろしければ以下の関係代名詞についての記事をご覧ください。
「文脈を確認してイメージ化する」というこの作業ができていれば、次に英文の中で“include”に出会ったときに、
「ああ、なんか大きなものの一部として何かを含んでいる感じだったな」
というイメージが湧きます。
これで、単にスペルと日本語の意味を結びつけるよりもイメージを持って英文を読むことができるので、記憶に定着しやすくなります。
②言葉の種類 – 品詞
2つ目のポイントは言葉の種類です。これは、具体的に言うと品詞のことです。
先ほどの文章で“include”という言葉が出てきて、意味を確認しましたね。
その後は、その単語の品詞は何かまで意識します。
“include”の場合は動詞です。
もっと言えば、他動詞です。つまり、目的語を取る動詞ですね。
Schools need money to pay for unexpected costs that include computers and internet services for distance-learning students.
なので、文の中で“include”のすぐ後に目的語になる言葉、つまり「何を含んでいるか」が書かれているわけです。
品詞を意識するというのは、言わば、その単語がどのように文の一部になれるのかを確認するということです。
スペルや意味と一緒にその単語の働きを認識するということですね。
これはもちろん動詞だけの話ではなくて、たとえば先ほどの文の一部を抜き出すと、
Schools need money to pay for unexpected costs. 学校は予想外の費用を支払うためのお金が必要だ。
とありました。
ここでの“unexpected”は形容詞ですから、“costs”(費用)という名詞の前に置かれて、この“costs”を説明する言葉になっているわけですね。
もしこれが副詞だとしたら、たとえば
He passed away unexpectedly. 彼は思いがけなく亡くなった。→ 彼の死は突然のことだった。
というような文にできます。
“unexpectedly”というのは「予想してない状況で」、つまり「思いがけなく」とか「不意に」「突然」という副詞なので、“passed away”(「亡くなった」という熟語)という動詞の部分を説明する言葉になっているわけです。
このように言葉(単語)にはどんな種類があり、その種類によってどんなことができるのかという品詞の知識を持っておくことが、効果的に単語を覚える上で非常に重要になってきます。
品詞は何かを意識することで、これまでどれも同じように見えていた単語が、品詞という重要な個性をもった一個人に見えてくるわけですね。
それぞれの品詞の特徴の基本については、以下の記事で説明していますので、品詞がよく分からないという方は是非そちらをご覧ください。
③-①言葉の共通点/関連性 – 接頭辞
3つ目のポイントは言葉の共通点/関連性です。
その中でもまずお伝えしたいのが接頭辞・接尾辞です。
もしかしたら聞き慣れない言葉だと思われる方もいるかもしれませんが、まず接頭辞というのは頭につく言葉のことです。
たとえば、“in”という接頭辞(スペルによってはim/ir/il)は、前置詞の“in”と意味合いは同じで「~の中(へ、で)」という意味を持っています。
私たちが漢字を見てだいたいの意味を理解するのと同じです。
“in”は漢字で言うなら、内側の「内」とか「入る」の「入」といったイメージです。
なので、これが頭につく単語、たとえば“include”は「中に含む」、“inside”は「内側」、“income”は「入ってくるお金」つまり「収入」といった意味になっています。
これが接頭辞の役割です。
この“in”にはもう1つ別の意味もあって、それが否定の「~でない」とか「~がない」といった意味です。
漢字で言うなら、「不」「非」「無」といったイメージです。
たとえば“inappropriate”(不適切な)とか、“impossible”(不可能な)という言葉は否定の意味になっていますよね。
同じような否定の意味を持つ接頭辞には“un”もあります。
これも「~でない」とか「~がない」といった意味合いで、「不」「非」「無」のイメージ、たとえば“unhappy”(不幸な)、“unacceptable”(受け入れられない)という風に、続く言葉を打ち消していますね。
もう1つ代表的な接頭辞を紹介しておくと、“re”があります。
これは、「再び」とか「後ろへ(元へ)」という意味で、漢字で言うなら「再」のイメージです。
“reuse”(再利用する)、“restart”(再開する)、“review”(見直す)というように、やはり接頭辞が共通点となって、同じような意味を含んでいますよね。
今回紹介したのは接頭辞の一例ですが、このように言葉の共通点に目を向けることで、1つ1つの単語を単独で覚えるよりも単語動詞の関連性に気づくことができ、単語を覚えやすくなります。
③-②言葉の共通点/関連性 – 接尾辞
同じような言葉の共通点としても接尾辞についてもご紹介したいと思います。
接頭辞とは逆で後ろにつく言葉です。
接尾辞を意識するといいのは、品詞の目印になっていることが多いからです。
たとえば、おなじみのものだと、名詞の目印として“er”という接尾辞があります。
主なパターンとしては動詞を名詞に変える接尾辞です。
たとえば、“teacher”、“writer”、“player”のように、元の動詞に「人」という意味を付加する接尾辞になっています。
「教える人」=教師、「書く人」=作家、「プレイする人」=スポーツなどの選手といった具合ですね。
もう1つ名詞をつくる接尾辞で代表的なものを挙げると、“ion”があります。
主に動詞を名詞に変える役割をしています。
“express”(表現する)を名詞に変えて“expression”(表現)にしたり、“regulate”(規制する)を名詞に変えて“regulation”(規制)にしたりという感じです。
副詞をあらわす接尾辞も見てみましょう。語尾につく“ly”です。
これは主に形容詞を副詞に変える役割をします。
“bad”が“badly”「悪く」とか「ひどく」に、“happy”が“happily”「幸せ」にとか「喜んで」に、“slow”が“slowly”「ゆっくりと」に、という感じですね。
形容詞を表す接尾辞も見てみましょう。たとえば語尾につく“ful”です。
主に名詞を形容詞に変える役割をします。
“beauty”を“beautiful”「美しい」に、“help”を“helpful”「役立つ」とか「有益な」に、という感じです。
これも一例ですが、このように接尾辞を知っていると単語が覚えやすくなるだけでなく、品詞を見分けるのにも役立ちます。
③-③言葉の共通点/関連性 – 対義語
もう1つ、言葉の共通点/関連性として触れておきたいのが対義語です。
対義語は意味が反対の言葉です。
“include”(~を含む、含める)の反対は“exclude”(~を排除する、除く)
“expected”(予期される、予想される)の反対は“unexpected”(予期せぬ、予想外の)
“beautiful”美しいの反対は“ugly”(醜い、見苦しい)
という感じです。
必ずしも1つの言葉の対義語が1つだけというわけではないのですが、対義語のような関連する言葉を一緒に覚えると、単語どうしが頭の中で結びついて覚えやすくなります。
そして何より、自分が英語を使うときに便利ですよね。
④文字以外の情報 – 発音
最後のポイントは、文字以外の情報です。具体的に言うと、発音です。
たとえば、次の単語はどう読むでしょうか?
knife, alcohol, energy, bury
あえてカタカナでできるだけ発音を再現するなら、
“knife”は“k”を発音せずに「ナイフ」
“alcohol”は「アルコール」ではなく「アルカホーゥ」
“energy”は「エネルギー」ではなく「エナジー」
“bury”は「ブリー」とか「バリー」ではなく「ベリー」(埋める)です。
(よかったら実際の発音を調べてみてください。)
では、次の単語のアクセントはどこにあるでしょうか。
occur, career, intern, manager
“occur”は後ろの“ur”に、“career”は“re”の“e”に、名詞の“intern”は頭の“i”に、“manager”は“ma”の“a”にアクセントがあります。。
たとえば会話の中で“energy”という言葉が出てきても、発音を知らず、「エネルギー」と読むと思い込んでいたらどうでしょうか。
知っている単語のはず聞き取れない、ということが起こってしまいます。
そのため、文字と音を紐付けるのは単語を覚える上で非常に重要なんです。
大事なことなので、もう少し記憶に残るように英単語をお寿司に例えてみたいと思います。
よく学生さんなどがやってしまいがちな「ひたすら意味とスペルだけを覚える」覚え方というのは、お寿司を食べているつもりでしゃりだけを食べ続けているようなものです。
英単語がお寿司なら、発音はネタです。
発音を意識せずに単語を覚え続けているとしたら、お寿司が食べたいのに美味しいネタを食べそこねてしまっています。
あまりにも逃しているものが大きいと思いませんか。
「発音なんてどうやって確認すればいいの?」と思う方もいるかもしれませんが、最近の電子辞書ならほぼ確実に発音を確認できますし、電子辞書を持っていなくても、ネットの辞書で確認できます。
また、特にGoogleで調べるのがおすすめなのですが、調べたい英単語とあわせて“pronunciation”(発音)と検索すると、すぐに発音を確認することができます。
(例:「energy pronunciation」)
自分で発音できるようになるのが理想的ですが、それには練習も必要なので、まずは「聞いて分かる」を意識して単語を覚えてみてください。
語彙力をつける英単語の覚え方 まとめ
ここまで、英単語が暗号のように無機質なものに見える状況を打破するためのポイントを大きくわけて4つご紹介しました。
- 文脈 – どう使われるか
- 言葉の種類 – 品詞
- 言葉の共通点/関連性 – 接頭辞・接尾辞・対義語
- 文字以外の情報 – 発音
「こんなに意識しないといけないの」と思う方もいるかもしれませんね。
ですが、これまで意識してなかったことを1つでもいいので普段の英語学習に取り入れてもらえれば、きっと少しずつ英単語を見る目が変わり、新しい景色が見えてくるはずです。
最後に大事なアドバイス
ここまで見ていただいた方に、最後にもう1つ、すごく大事なことをお伝えしたいと思います。
それは、「1回では覚えられない」と心得ることです。
もしかしたら、一度覚えたことは絶対忘れないという特殊な方もいるかもしれませんが、私を含め大半の人は、英単語を1度見ただけで完璧に覚えることはできないはずです。
なので、辞書でもネットでも構わないので、気になったら何度でも調べましょう。
何度も触れ、確認するという反復作業によって記憶が定着します。
「この単語、前にも見た気がする」とか、「どういう意味だっけ」と思う瞬間が来たら、それは英単語を覚えるチャンスです。
急がば回れの精神で、使える語彙力を着実に身につけていきましょう。
今回は英単語の覚え方についてお話ししました。
単に機械的に単語を覚えようとするのではなく、今回ご紹介したポイントを意識して、語彙力と一緒に英語脳を磨いていってもらえればと思います。
このブログおよびYouTubeチャンネルでは、主に英文法や英文読解の説明をできるだけわかりやすく行っていますので、良かったらまた見に来てくださいね。
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