to不定詞と形式主語itの使い方:否定語の位置/意味上の主語/副詞的用法補足[016]

to不定詞と形式主語のit 話すための基礎文法
to不定詞とitはじめに

『話すための基礎文法』、今回も前回、前々回に引き続き「To不定詞」についてお話しします。

今回は不定詞と非常に相性の良いit”との関係をメインとして、不定詞の使い方をさらに見ていきたいと思います。

では早速始めましょう。

形式主語のit:不定詞はあまり主語としては使わない

主語になる不定詞の言い換え

まず、不定詞と形式主語it”の使い方です。

前回の記事で不定詞の名詞的用法について説明し、不定詞は主語になることができると紹介しました。

たとえば、

To play the guitar is easy.(ギターを弾くことは簡単です。)

といった文章です。

実は、この不定詞を主語に置くという使い方は、文法的には正しいのですが、実際にはそれほど頻繁には使われません。

代わりににどのように言うかというと、

It is easy to play the guitar.(ギターを弾くことは簡単です。)

という言い方をすることが多いです。

ここではなぜか、”it”が主語になっていますね。この文章を詳しく見ていきましょう。

形式主語とその正体

分かりやすくするために一度、この文章の前半部分だけを見てみましょう。

そうすると、”it is easy”となります。この段階であえて訳すとしたら「それは簡単です。」ですよね。

「じゃあこの”it”(それ)って何?」となるのですが、このit”は形式主語と呼ばれるもので、これ自体には意味がありません。

形式的な主語、つまり、仮の主語と考えればいいですね。

そしてこの仮の主語の正体が、to play the guitar”という不定詞を含むフレーズになります。これが、itという主語の正体です。

つまり、形の上では”it”を主語にしておいて、「何が簡単なのか」を後ろで、不定詞を使って説明しているということになります。

もう1つ例を見ておきましょう。

形式主語の例2

To play sports is fun. (スポーツをすることは楽しいです。)

という、不定詞の部分が主語になっている文章です。

これも言い換えると、

It is fun to play sports. (スポーツをすることは楽しいです。)

と言うことができます。

ここでも”it”は形式主語で、その正体を後ろの不定詞の部分で説明する、という文の構造になっています。

不定詞の否定語の位置

不定詞の否定語の位置

次に、この形式主語の”it”を使いながら、不定詞を使う際の否定語の位置について見ていきましょう。

「遅刻しないことが重要だ。」という英文を作りたいと思います。

まずは形式主語it”を使って、

It is important(それは重要です。)

と言っておき、この仮の主語の正体を後ろで不定詞で説明します。

It is important  to be late.

ただ、このままでは「遅れることは重要です」という不本意な意味になってしまいます。

なので、遅れ「ない」ことという風に、否定の意味を入れたいですよね。

その場合は、不定詞の直前にnot”を入れることになります。

It is important not to be late. (遅刻しないことは重要です。)

これで、「遅刻しないことが重要だ」という意味にすることができました。

否定語は不定詞の直前に置くということですね。

不定詞の意味上の主語

不定詞の意味上の主語

次に、不定詞の意味上の主語についてです。

先ほども登場した、

It is easy to play the guitar.(ギターを弾くことは簡単です。)

という文章ですが、これは「一般的にギターを弾くことは簡単」「みんなにとって簡単」といった意味合いに聞こえます。

では、具体的に「誰が」ギターを弾くことが簡単なのかをはっきりさせたいときはどうすればいいでしょうか。

その場合は、「for+名詞/目的格の代名詞」を不定詞の直前に置く必要があります。

目的格の代名詞というのは、「~に、~を」のときの代名詞の形ですね。「彼」の場合は”him”です。

It is easy for him to play the guitar.(彼がギターを弾くことは簡単です。)

これで不定詞の意味上の主語を置き、「彼がギターを弾くことは簡単だ」という意味にすることができました。

不定詞の副詞的用法の補足:「何をするのが?」の答えにあたる部分

副詞的用法補足1

最後に、前回説明した不定詞の副詞的用法の補足です。

形式主語を使った、

It is difficult to understand poetry. (詩を理解するのは難しいです。)

という文章を見てみましょう。

この文章は別の言い方として、”poetry”を主語にして、

Poetry is difficult to understand. (詩を理解するのは難しいです。)

と言うこともできます。

後半に不定詞を含むフレーズがありますが、これが何の用法なのか考えてみましょう。

不定詞の直前に形容詞の”difficult”(難しい)という言葉があるので、どうやら不定詞は形容詞を説明しているようです。

形容詞を修飾できるのは副詞なので、副詞的用法のようだな、ということが分かります。

ですが、この文章の不定詞の部分は、前回説明した副詞的用法を見分けるときの意味、「何のために?」「なぜ?」「それで?」の答えにはなっていないようです。

どうやら違う意味で使われていそうですね。

副詞的用法補足2

もう一度、この文章を詳しく見ていきましょう。

主語の”poetry”は、意味としては不定詞の動詞の部分の目的語になっています。「詩を理解することが難しい」ですからね。

ここで分かりやすくするために、一度前半部分だけ見てみましょう。

Poetry is difficult(詩は難しい)

ですね。

これだけでも文章は成立するのですが、もう少し、このdifficult”(難しい)という形容詞の部分を説明したいわけです。

そこで登場するのが、「何をするのが?」という答えにあたる部分、「何が」難しいのかという内容を表す不定詞です。

Poetry is difficult to understand. (詩を理解するのは難しいです。)

「理解する」のが「難しい」のですよね。

「詩は難しい」→「何をするのが?」→「理解する(のが)」

という構造になっています。

ちなみに、この使い方をできる形容詞は限られています。

主に”easy” “difficult” “hard” “impossible”などの難易度を表す言葉や、”dangerous”, “comfortable”などの場合にこの不定詞の使い方をすることができます。

以上、不定詞の副詞的用法には「何をするのが?」という内容を表すことができる意味合いもあるという、前回の補足でした。

不定詞と形式主語itの使い方まとめ

不定詞とitまとめ
  • 主語の位置に置く不定詞はあまり使われない
  • 形式主語”it”の正体は後ろに登場する不定詞
  • 否定後は不定詞の直前に置く
  • 意味上の主語は「for+名詞/目的格の代名詞」を不定詞の直前に置く
  • ◆副詞的用法の補足:
  • 「何をするのが?(内容)」の答えにあたる部分

今回は「to不定詞」と形式主語”it”の使い方について主にお話ししました。

これまでの記事と合わせて、不定詞の基本的な使い方を概ね説明したことになります。

これまで説明した内容だけでも、かなり多くのことを表現できるようになるのが不定詞です。

是非しっかりと自分のものにして、どんどん使っていきたいものですね。

この記事を書いた人
Momo

英語講師/翻訳者
英検1級/TOEIC980/全国通訳案内士
スタディサプリ講師(中学講座 - 英語)
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