『話すための基礎文法』、今回は「to不定詞」の使い方について詳しく説明したいと思います。
不定詞の重要ポイント:名詞/形容詞/副詞の役割ができる!言葉をつなぐ!
前回の記事で、不定詞とはどのようなものなのかを、物語調で説明しました。
今回不定詞について詳しく見ていく前に、不定詞の重要なポイントについてざっとおさらいしておきたいと思います。
まず不定詞とは、「to do」(“to”と動詞の原形)の形で使うものです。
この「to do」が名詞の役割をしたり、形容詞の役割をしたり、副詞の役割をすることができる、というのが不定詞の重要なポイントの1つでした。
これをそれぞれ、「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」と言い分けているわけですね。
もう1点の不定詞の重要なポイントは、こちらの文章から確認してみましょう。
✗ I like play tennis.
これは、このままでは成立しない文章になっています。
日本語で言うなら、
✗ 私はテニスをする が好きです。
と言っているようなものです。
そのため、日本語でこの文章を完成させるときは、たとえば
私はテニスをする「こと」が好きです。
とか、
私はテニスをする「の」が好きです。
など、何かしら「テニスをする」という言葉と「好き」という言葉をつなぐ言葉を足すはずです。
実は、これと同じような役割を不定詞の”to”がしています。
ここでは、”to”という言葉があることによって、そのままではつなぐことができなかったた”like”と”play”という動詞どうしをつないでいるわけです。
このように、不定詞は、動詞と動詞、形容詞と動詞、名詞と動詞など、何かの言葉と動詞をつなぐ役割をしています。
上記のことを頭に入れた上で、不定詞の3つの使い方、「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
不定詞の名詞的用法
名詞の働きをする不定詞:主語や目的語、補語になる
まず、名詞的用法です。
名詞的用法というのは、名詞の働きをする不定詞のことです。
日本語では「~すること」と訳されることが多いですね。
名詞は人や物事の名前を表す言葉で、主語や目的語、補語になることができます。
つまり、文の要素である主語(S)、目的語(O)、補語(C)です。
文の要素が何のことかよく分からないという方は、是非以下の記事をご覧ください。
「何?」の答えにあたる部分
名詞的用法の具体的な例を見ていく前に、1つ頭に入れておきたいことがあります。
それが、名詞は「何?」(「何が?」「何を?」「何に?」)の答えにあたる部分になるということです。
そしてこのことは、不定詞の名詞的用法を見分ける上でも役に立ちます。
具体的な例を見ていきましょう。
まず、主語(S)になる不定詞です。
To sleep early is a good habit. (早く眠ることは良い習慣です。)
という文章では、”To sleep early”が不定詞を含んでいるフレーズですね。
これを文の要素の観点で見ていくと、
- To sleep early・・・主語(S)
- is・・・動詞(V)
- a good habit・・・補語(C)
となっています。
補語というのは、ここでは主語を説明する語のことで、主語とイコールの関係になっています。(早く眠ること=良い習慣)
ここで、「何?」を思い出していただきたいのですが、「何?」の答えにあたる部分が名詞でしたよね。
なので、ここでは、
「何が良い習慣なの?」→「早く眠ること」
と捉えることができ、この不定詞が名詞として使われていることが分かります。
次は目的語になる不定詞です。
I like to play tennis. (私はテニスをすることが好きです。)
では、”to play tennis”に不定詞が含まれていますね。
これを文の要素の観点で見ていくと、
- I・・・主語(S)
- like・・・動詞(V)
- to play tennis・・・目的語(O)
となります。
ここでも、
「私は好きです」→「何が?」→「テニスをすることが」
となります。
そのため、この不定詞が名詞として使われていることが分かります。
次に、補語になる不定詞です。
His dream is to become a pilot. (彼の夢はパイロットになることです。)
では、”to become a pilot”の部分に不定詞がありますね。
文の要素の観点で見ると、
- His dream・・・主語(S)
- is・・・動詞(V)
- to become a pilot・・・補語(C)
となっています。
ここでも、
「彼の夢は」→「何が彼の夢?」→「パイロットになること」
となっているので、この不定詞は名詞として使われているわけです。
このように、不定詞が名詞として使われると、主語や目的語、補語になることができます。
動詞と不定詞のつながりはフレーズで認識する
ここで、不定詞について1つ認識しておきたいのは、「特定の動詞の後には不定詞が続く」ことです。
先ほど登場した”like to do”(~することが好き)や、”want to do”(~したい)、”plan to do”(~することを計画している)、”decide to do”(~することを決める)など、不定詞が後に続く動詞はたくさんあります。
そのため、特定の動詞のあとに不定詞(to do)が来るという語のまとまりを1つのセットとして、フレーズで認識しておくことをおすすめします。
不定詞の形容詞的用法
形容詞の働きをする不定詞:名詞を修飾する
次に、形容詞的用法です。
形容詞的用法というのは、形容詞の働きをする不定詞のことです。
日本語では「~するための」や「~すべき」と訳されることが多いです。
形容詞は人や物事の様子や性質を表す言葉で、名詞を修飾するという性質を持っています。
たとえば、
a beautiful flower (美しい花)
では、”beautiful”(美しい)という形容詞が”flower”(花)という名詞を修飾、つまり説明しています。
形容詞用法というのは、不定詞にもこの名詞を修飾する形容詞の役割ができるということです。
「どんな?」の答えにあたる部分
形容詞的用法に関して意識しておきたいことは、「どんな?」です。
つまり、「どんな?」の答えにあたる部分が形容詞になっています。
具体的に例を見ていきましょう。
I have a lot of homework to do. (私にはするべき宿題がたくさんあります。)
では、”homework”(宿題)という名詞を”to do”という不定詞が修飾、つまり説明しています。
「するための宿題」や「するべき宿題」という意味ですね。
ここで、「どんな?」を思い出しましょう。
「私にはたくさんの宿題がある」→「どんな宿題?」→「するべき(宿題)」
という風に、後ろから前の名詞を説明していますね。
このように、不定詞は必ず後ろから前の名詞を修飾することになります。
次に、
She doesn’t have enough money to buy that. (彼女はそれを買うための十分なお金を持っていません。)
では、”money”(お金)という名詞を”to buy that”という不定詞のフレーズが修飾しています。
「彼女は十分なお金を持っていない」→「どんなお金?」→「それを買うための(お金)」
となっているので、「どんな?」の答えにあたる不定詞は、形容詞として使われていることが分かります。
また、
Would you like something to drink? (なにか飲み物がほしいですか?)
では、”something”(何か)という名詞を”to drink”という不定詞が修飾しています。
「何かほしいですか?」→「どんな?」→「飲むための(何か)」
と捉えることができるので、形容詞として使われていると分かりますね。
不定詞の副詞的用法
副詞の働きをする不定詞:動詞や形容詞を修飾する補足情報
最後に、副詞的用法です。
副詞的用法というのは、副詞の働きをする不定詞のことです。
日本語では「~するために」や「~して」と訳されることが多いです。
副詞は様態(どのように)、頻度、程度、時などの補足情報を表す言葉で、動詞、形容詞、副詞、文全体を修飾するという役割を持っています。
分かりやすい例を挙げると、
I walked slowly. (私はゆっくりと歩いた。)
では、”slowly”(ゆっくりと)という副詞が”walked”(歩いた)という動詞を修飾、つまり説明しています。
このような働きが不定詞にもできる、というのが不定詞の副詞的用法です。
「何にために?」「なぜ?」「それで?」の答えにあたる部分
副詞的用法の見分け方として意識しておきたいのは、「何のために?(目的)」「なぜ?(理由・根拠)」「それで?(結果)」です。
このことを意識しながら、具体的な例を見ていきましょう。
I went there to meet her. (私は彼女に会うためにそこに行きました。)
では、”to meet her”(彼女に会うために)→”went”(行きました)という形で、不定詞のフレーズが動詞を修飾していますね。
「私はそこに行きました」→「何のために?(目的)」→「彼女に会うために」
と捉えることができるので、この不定詞が副詞として使われていることが分かります。
つまり、目的を表す不定詞です。
次に、
He was surprised to know that. (彼はそのことを知って驚いた。)
では、”to know that”という不定詞のフレーズが”surprised”(驚いた)という形容詞を修飾しています。(そのことを知って驚いた)
「彼は驚いた」→「なぜ?(理由・根拠)」→「それを知って(驚いた)」
という風に、不定詞の部分が「なぜ?」の答えになっているので、副詞として使われていることが分かります。
最後に、
She grew up to be a famous pianist. (彼女は成長して有名なピアニストになった。)
という文章では、”to be a famous pianist”という不定詞の部分が、”grew up”(成長した)という動詞の補足情報になっています。
「彼女は成長した」→「それで?(結果)」→「有名なピアニストになった」
となっていますね。
結果を表す不定詞です。
このような意味を付加できるのが、不定詞の副詞的用法となります。
不定詞の使い方と見分け方 まとめ
- 不定詞は名詞、形容詞、副詞の役割をする
- 不定詞の”to”は何かの言葉と動詞をつなぐ役割をする
- ◆名詞的用法:
- 主語や目的語、補語になる
- 「何?」の答えにあたる部分
- ◆形容詞的用法:
- 名詞を修飾する
- 「どんな?」の答えにあたる部分
- ◆副詞的用法:
- 動詞や形容詞などを修飾する補足情報
- 「何のために?(目的)」「なぜ?(理由・根拠)」「それで?(結果)」の答えにあたる部分
今回は「to不定詞」の使い方を細かく見ていきました。
不定詞はいろいろな意味を表すことができる、とても便利な表現です。
是非しっかりと理解して、積極的に使っていただけたらと思います。
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