今回は、英語の時制の1つである過去形についてお話しします。
過去形の使い方やイメージ、スペリングや発音のポイントなどをご紹介します。
では、早速始めましょう。
過去形の形
まず、過去形の形から確認していきましょう。
原則と不規則動詞
過去形にするには、原則として動詞の語尾に「ed」をつけます。
例えば、callならcalled、wantならwantedという具合ですね。
文にすると、たとえば、
He called her. 彼は彼女に電話した。
否定文にする場合はdidn’t (did not)を使って、
He didn’t call her. 彼は彼女に電話しなかった。
となります。
全ての動詞が後ろに「ed」をつけるだけなら簡単なのですが、そのルールに当てはまらない不規則な変化をする動詞があります。不規則動詞です。
簡単にはいかないのが言語の難しいとことろであり、面白いところでもありますね。
では、不規則動詞の例をいくつか見ていきましょう。
たとえばbe動詞なら、過去形はwasやwereになります。
eat(食べる)という動詞の過去形はate、see(見る)という動詞の過去形はsaw、make(作る)という動詞の過去形はmadeといったものが不規則動詞です。
今ご紹介した通り、よく使う動詞に意外と不規則動詞は多いんですね。
文にしてみると、たとえばbe動詞を使って、
I was hungry. 私はお腹が空いていた。
eatの過去形ateを使って、
She ate an apple. 彼女はリンゴを食べた。
のようになります。
ちなみに、過去形の文を疑問文にする場合は、
Did she eat an apple? 彼女はリンゴを食べましたか?
などのように、didを使います。
語尾(ed)の付け方(スペリングのルール)
次にスペリングのルールについて少し触れておきたいと思います。
不規則動詞以外で、単純に語尾にedをつけるだけにならない例です。
先ほどお話ししたように、原則としては動詞の語尾に「ed」をつけると過去形になるのですが、ちょっとした例外もあります。
たとえば、原形がeで終わる動詞の場合は、語尾にはdだけをつけます。
useなら、usedという感じです。
useはeで終わっているので、過去形のときに語尾につけるのはedではなく、dだけです。
次は、原形が子音字+yで終わる動詞の場合です。
子音字というのは、母音字(a、e、i、o、uという母音を表す字)以外の字のことです。
この場合は、語尾のyをiに変えてedをつけます。
言葉だけではややこしく感じるかもしれませんね。例を見てみましょう。
たとえば、studyなら、過去形はstudiedになります。
studyはdという子音字+yで綴りが終わるので、過去形ではこの語尾yの部分をiに変えて、あとは普通にedをつけます。
もう1つ別のケースも見ておきましょう。
原形が1つの短母音字+1つの子音字で終わる動詞です。
短母音字の短母音というのは、短く発音する母音のことです。
この場合は、語尾の子音字を重ねてedをつけます。これも例を見るとわかりやすいですね。
たとえばstopなら、過去形はstoppedになります。
stopのoは短く発音する母音、短母音です。それに、子音字であるpが続いていますね。
なので、過去形ではこの語尾の子音字pを重ねて、つまりもう1つ足して、edをつけます。
もう1つ例を見てみましょう。
「こする」という意味の動詞rubは、過去形ではrubbedです。
こちらも、短く発音する母音字uと子音字のbで終わっているので、過去形ではbを重ねてedをつけます。
この3つのパターンの他にも例外はあるのですが、今ご紹介した3パターンは特に目にすることが多いはずです。
このような説明をするとややこしく感じてげんなりしてしまう方もいるかもしれませんね。
ですが、これらのルールを頭に入れ込むというよりは、このようなバリエーションがあるんだということをまず認識してもらえればOKです。
過去形で動詞を使うたびにその形を確認して数を重ねていけばスペリングのパターンには慣れていくので、あまり難しく考えないでくださいね。
edの発音の種類
では、次に語尾のedの発音についてお話ししたいと思います。
英語は言語なので、音を意識して学んでいくことが非常に重要です。
まず1つ目のパターンを見てみましょう。
原形が[t]の音以外の無声音で終わる動詞です。
無声音というのは、k, p, shなどの音、つまり発音するときに声帯の振動がない音のことです。
上のイラストのように喉に手をあてて発音し、手に喉の振動を感じるか確認してみるとわかりやすいですね。
このような動詞の場合は、語尾のedは[t]の発音になります。
たとえば、stopの過去形はstoppedですが、stopはpの「プッ」という息が出る音、つまり無声音で終わる動詞なので、edの部分は[t]の発音(「トゥ」という感じの息が出る音)になります。
もう1つ例を見てみると、「洗う」という意味の動詞washは、washedと、こちらもedの部分は[t]の発音になります。
これも、washという動詞がshという無声音で終わるからですね。
では、2つ目のパターンを見てみましょう。
原形が[d]以外の有声音で終わる動詞です。
有声音というのは、無声音の逆で、発音するときに声帯に振動がある音ですね。
この場合は、edの部分は[d]の発音(「ドゥ」に近い)になります。
たとえば、「住んでいる」という意味の動詞liveは過去形ではlivedと、edの部分は[d]の発音になります。
原形のliveがvの音、つまり有声音で終わるからですね。
もう1つ例を見てみましょう。
「使う」という意味の動詞useも、「ズ」という感じの有声音で終わるので過去形になると語尾のedは[d]の音になりますね。
では、3つ目のパターンを確認しましょう。
原形が[t]または[d]の音で終わる動詞、つまり、上の2つのパターン以外は、[ɪd](「イドゥ」に近い)の発音になります。
たとえば、wantだとwanted[ウォンティドゥ]、needだとneeded[ニーディドゥ]という感じですね。
これらのルールは、ネイティブにとっては発音しやすくするために自然とそうなってしまうようなものです。
なので、これも普段から音を意識して数をこなしていれば、頭でがちがちに覚えるようなルールではありません。
以下の英単語の覚え方についての記事でもお話ししましたが、文字と音を紐付けるのは、単語を覚える上でも、英語に慣れるためにも非常に重要となりますので、是非意識してもらえればと思います。
過去形の使い方
では、形や音などのルールについてはこれぐらいにして、次は過去形の基本イメージを確認していきましょう。
基本のイメージ
過去から未来へと流れる時の流れを線で表して考えてみます。現在はここです。(画像参照)
過去形が表すのは、その名の通りこの青い範囲に入るもので、ざっくり言うと「過去のこと」を表すのが過去形です。
「過去のこと」と一口に言っても表せることの範囲は意外と大きくて、具体的には、過去の行為、習慣、状態、出来事などを言うときに過去形を使うことができます。
また、1回きりのことでも、繰り返し起きたことでも、一定期間起きたことでも、過去のことなら過去形で表せます。
たとえば、「昨日電話した」という1度あったこと、「昔は歩いて学校に通っていた」などの繰り返ししていたこと、「2年間〇〇に住んでいた」などの一定期間起こったこと、このどれも過去形で表せるんですね。
過去形について他の時制との区別の上で意識しておきたいのは、まず、過去形は現在とのつながりは示さないということです。
イメージとして、現在との間に壁のような隔たりがあると考えるといいですね。
また、もう終わったことや完了済みの行為を指すときに使うということもチェックしておきましょう。
過去形が使われる例
では、過去形が使われる例を文で見ていきましょう。
たとえば、
He met her three years ago. 彼は3年前に彼女に出会った。
という文を見てみましょう。
metは会うという動詞、meetの過去形ですね。
agoというのは「~前」を表す言葉で、過去のいつの時点のことなのかを表すために過去形でよく使われます。この文では「3年前」ですね。
この文は、「彼が彼女に出会った」という過去の1回の出来事を指しています。
別の例も見てみましょう。
When I was a child, I lived in California. 私は子供の頃、カリフォルニアに住んでいた。
です。
be動詞の過去形wasと、liveの過去形livedですね。
この文は、子供の頃という過去の一定期間どうだったのかを意味していますね。
もう1つ見てみましょう。
I often visited the park after school. 私はよく学校が終わってからその公園を訪れた。
です。
「訪れる」という意味のvisitの過去形visitedが使われています。
oftenは「よく」とか「しばしば」といった意味ですが、過去形はこのように頻度を表す言葉と一緒に使って、過去に繰り返し起きた出来事を指すことも多いです。
過去形が過去の意味にならない?
ここまで、過去形が様々なケースの過去のことを指すことを見てきました。
ですが、過去形が使われていても過去のことを意味しない場合もあります。
どのような場合か思いつくでしょうか。
すぐにピンと来た方、素晴らしいですね。
最後に少し触れておきたいのは仮定法で使われる過去形です。
仮定法で使われる過去形
たとえば、
If you were in my position, what would you do?
という文は、「もしあなたが私の立場ならどうしますか?」という意味になります。
be動詞の過去形wereとwillの過去形wouldが使われていますね。
これは、「実際はあなたは私の立場にはいないのだけれども、もし私の置かれている状況にいるとしたら、あなたならどうしますか?」という仮定のお話、つまり仮定法の文になります。
つまり、あくまで「現在そうだとしたら」という仮定で、過去の話ではないんですね。
同じように、
I wish I had an umbrella. 傘を持っていたらいいのにな。
という文も、haveの過去形であるhadが使われています。
wishは「~ならいいのにと願う」とか「望む」といった意味合いで、この文では実際は傘を持っていないんですが、「今傘があればいいのになぁ」という仮定の話をしています。
このような仮定法の意味合いの文は、形は過去形でも現在の仮定や未来の仮定に使われます。
先ほどお話した過去形の基本の使い方とあわせてチェックしておきましょう。
仮定法の場合は文脈から判断するのはもちろんですが、今回のようにif(もし)やwouldのような助動詞の過去形、wishのような仮定法でよく使われる語をもとに判断できることが多いです。
ifを使う仮定法については以下の記事で詳しく説明していますので、気になる方は是非そちらをご覧ください。
過去形の使い方 まとめ
- 過去形にするには原則として動詞の語尾に「ed」をつける
- 単純にedがつかない、不規則な変化をする動詞もある(不規則動詞)
- edの発音は3種類ある[t][d][ɪd]
- 過去形が表すのは「過去のこと」(過去の行為、習慣、状態、出来事など)
- 1回きりのことでも、繰り返し起きたことでも、一定期間起きたことでも過去形で表せる
- 仮定法でも過去形が使われるが、その場合は現在や未来の仮定を意味する
今回は、過去形についてお話しました。
英語の時制の中でも非常に使用頻度の高い、英語の知識の基盤となるような時制なので、今回の動画で復習になったり、新たな発見があったりしたなら嬉しく思います。
このブログおよびYouTubeチャンネルでは、主に英文法や英文読解の説明をできるだけわかりやすく行っていますので、良かったらまた見に来てくださいね。
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